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  • 19.06.03

トップ商空間デザイナー杉山敦彦が語る【売れる施設づくり】ビジュアル映えするデザイン(THE WHOLEDESIGN代表取締役 杉山敦彦氏)

  インテリアや旅行でも、フォトジェニックな写真を見て、買うか買わないを決定します。商業デザインにおいて、ビジュアル映えがするかどうかをイメージしていくことは不可欠。デザインの段階で、雑誌、HPをイメージし、このシーンはこんなキラーカットになる、こう使えるなどと想定しながら落とし込んでいきます。何となくオシャレな空間をイメージし、それならばこんな色や素材を使ったらいいといった積み上げではなく、写真になった時のゴールを明確に想像することが大切なのです。
 ウエディングの場合、情報誌やWEB上には、いくつもの施設が掲載されます。その中で違いを出さなくてはならない。私自身デザインの際に、周辺の施設をWEB上で見ます。何かを参考にするのではなく、いくつもある施設の中で、どんなものが映えるのかを考えるヒントとして。写真が並んだ時に、自分だけが引き立つものは何なのかを追求していくわけです。
 最近は、写真の編集技術も高まっています。ビジュアルが優先され、特に広告系の担当者はキラーカットを脚色編集することが当たり前にさえなっています。度が過ぎた編集は、結果として顧客への裏切りとなります。考えるべきは、何故インスタをはじめとしたSNSでの情報収集が一般化しているのか。花嫁たちに、キラーカットを脚色していることがバレているわけです。だからこそ、空間デザインを含めたリアルを知るためにインスタを用います。HPのキラーカットで夢を見せながら、インスタのリアル写真ではこんなに違う、来館してみたら思ったほどではなかったなど、裏切られたと思わせないようなバランスが求められています。
 SNSの人気に伴い、キラーカットだけでなく、スマホでどう撮影されインスタに投稿されるのかのイメージも必要になっています。ゲストや新規来館した顧客が、恐らくここで写真を撮りインスタに投稿するだろうというシーンを、随所に作っていく。みんなが同じ場所で撮影しそれが投稿されれば、SNS上でキラーカットになります。この写真はあの施設だよねと。インスタユーザーが撮影し投稿したくなるような、いわば誘い込む仕掛けを施設の中で作ることも今後はさらに重要になるでしょう。
 ビジュアル映えする空間デザインには様々な要素が含まれています。その一つが大胆な空間構成。例えば、とにかく大きな窓を設置する、普通にはない色、配色、ライティングを施すなど。こうしたデザインは、反面で居心地の良さが犠牲になる可能性も出てきます。そこで、思い切ったデザインは、長時間過ごすバンケットではなく、館内の通路やトイレなど短時間しか過ごさない場所にする。バンケットでは疲れるようなデザインも、短時間いるだけの場所であれば大胆なものであっても気にならない。特にトイレは、思い切った空間にすることで、面白いと思われる可能性も出てきます。
 空間情報を目から入れるからこそ、色使いも重要な要素。ここをしっかり考えないと、せっかくいいデザインを作っても伝わりません。ただ、日本のデザインは木材やコンクリートなど素材そのものが多いため、総じてレベルが高くありません。自然素材を引き立たせるために、色をどのように入れていくのかがポイントであり、色使いに関してはプロフェッショナルでもあるグラフィックデザイナーとジョイントし勉強していくべきでしょう。
 以前勤務していた会社では、オレンジや紫の壁取り入れるなど、当時のウエディング施設やホテルにはなかった色を取り入れていました。ただ、使い方を間違えると幼稚で、違和感しか与えられません。センスが求められるからこそ、色の勉強をするべきです。
 色は単体では存在しません。例えば木材の装飾も、この色を入れることで映える。さらに木材があるからこの色が映えるといったものです。色と色、色と素材をいかに組み合わせていくことができるか。
 以前、メキシコの建築家であるリカルド・レゴレッタの作品を実際に見に行きました。一見奇抜な色を使っていると思われますが、実はそれは花の色。植栽の緑との相性もよく、お互いに力をつけているのです。色だけであればグラフィックデザイナーの領域ですが、その色に自然素材、植栽などを合わせられません。それを出来るのが空間デザイナーなわけです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月11日号)