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  • 社説:潮目
  • 25.11.06

離婚した親の結婚式出席

 3組に1組が離婚をしている状況であれば、結婚式で新郎新婦どちらかの両親が離婚をしているという可能性も当然増えてくる。仮に母親が親権を持っていて、離婚後にも父親と子どもが全く会っていないのであれば、母親のみの出席ということでシンプル。父親が定期的に子どもと会っている場合は、結婚式にも来て欲しいという子どもからの希望も出てくる。ただ、子どもとは一定の関係性を築いている場合であっても、夫婦間では断絶している根深い理由がある可能性も考えられる。さらに母親が再婚をしていて新しい父親のいるケースであれば、2 人の父親共に出席か、それとも実父は控えてもらうのかなど、微妙な判断が必要になる。その点では、子どもである新郎新婦の希望に沿って進めていくのは、家族間に大きなしこりを残すことになりかねない。
 先日、あるプランナーからこんな事例を聞いた。若いプランナーが担当していた新婦は、小学生の頃に親が離婚し、父親に育てられてきた。ただ、別れた母親に対しては良い思い出しかなく、そこでヴェールダウンをお願いしたいと言ってきた。ただ、父親に事前に話すと反対される可能性もあるため、サブライズにすると。担当プランナーは新婦からの要望を一度は受け入れたものの、当日が近づくにつれ不安を感じ、先輩である彼女に相談してきたという。
 サプライズにしたいという新婦の希望はあったものの、これは大きな問題になる可能性があると感じた先輩の彼女は、父親に直接電話をして事情を聞いた。離婚理由は新婦の知らない深刻なものであり、さらに父親側の親族の反発も十分に考えられた。結婚式で行うべきではないと判断し、新婦には事情を隠したまま、それよりも結婚式終了後のブライズルームで2 人きりで会って感謝を伝えようという代替案を提案。新婦も最終的には納得した。後日談として、結婚式の満足感でいっぱいだったのか、その後の母親との対面は実にあっさりしたものだったという。 
先輩である彼女は、仮に相談なく新婦からの希望ということでサプライズを進めていたら、大きなトラブルになっていたと振り返る。最近の風潮として、【絆】が大きなテーマになっている。結婚式が【絆】を再確認できる機会であるという考えに支配されていれば、新婦の希望を叶えたいとなるのも理解できる。実際に若いがゆえに、担当プランナーは一度それを受け入れている。この相談に対し彼女が一歩引いて冷静に判断し、直接父親に事情を聞いて見えてきたものがあったわけだ。これは実に重要なポイントで、良い結婚式になるかどうかの分岐点であったといえる。 
プランナーは、直接対面する新郎新婦の関係性は推し量ることも出来る。一方で両親やゲストについては、あくまでも新郎新婦からの伝え聞きであり、新郎新婦との関係性だけで済む問題であればまだしも、両親間、家族間、親族間、ゲスト間はより冷静に判断しなければならない。特に両親の離婚には微妙な問題がはらんでいる可能性も多く、結婚式に参加してもらうかどうかについても慎重さが求められてくる。大人同士であるためその場で険悪な雰囲気になることは稀であっても、それ以上に結婚式が「嫌な思い出」になってしまえば、それは悲劇でしかない。
 結婚式を控えて感情の高ぶっている新郎新婦に、【絆】の押し売りをすれば、火に油を注ぐ結果となり、どんどん不幸に突き進んでいく。プランナーの役割としては、時間を費やし様々な手を打って事情を把握、感情の高ぶる新郎新婦に冷静な提案をしていくこと。時には思いとどまらせなければならない。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月1日号)