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  • 社説:潮目
  • 25.08.19

販売のためには商品・サービスの意味づけが大切

 先日、東京で人気の和菓子、【切腹最中】の生みの親である、新正堂(東京都港区)3 代目の渡辺仁久氏から話を聞く機会があった。もともと同店は忠臣蔵の浅野内匠頭が切腹した跡地にあり、そこからこの商品名を思いついたというエピソードを持つ。そのネーミングに、仕事で何かミスをして相手方へ謝罪に行く時の手土産として注目を集めていった。ただ決して縁起の良いとはいえないネーミングでもあり、さすがに結婚式の引出物としては提供されることはないだろうと思っていたが・・・。
 「実はこれまで2 回だけ、結婚式の引出物ととして購入されたことがあります。そのうち一組の夫婦は、親の反対を押し切って半ば駆け落ち同然で結婚を決めたわけですが、その結婚式の時に自分たちの覚悟を表すという意味合いから、当店の切腹最中を引出物にしました。販売する側としても、さすがにどうなのだろうと思ったものの、2 人にとってはそれだけ強い想いを伝えたかったのでしょう。」
 人生最良の日に出す商品名としてはそぐわなくても、2 人のストーリーによって、それは別の意味づけとなる。もちろん、多少の洒落心も併せ持っていなければ、手に取った人も戸惑うのは当然。その点では、謝罪の際の手土産に持参するというケースも、相手に洒落が全く伝わらない状態であれば、かえって火に油を注ぐことになりかねない。つまり【切腹最中】とは、キャッチーなネーミングであるゆえに、洒落心を試される商品であるとも考えられる。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1・11日合併号)