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  • 社説:潮目
  • 25.05.28

コミュニケーション不足 価値観の多様な顧客への対応

口コミサイトのネガティブ投稿を見ていると、実に単純なコミュニケーションの問題に由来していることが多い。コミュニケーションの課題は、いくつかに分類される。伝えた側と受け取る側の認識が相違している【ミスコミュニケーション】。必要な場面でコミュニケーションがなされない【ディスコミュニケーション】。伝えた側の情報がそもそも誤っている【誤情報伝達】。さらに、価値観や世代の違いから生じてくる【コミュニケーションギャップ】。企業としてこのコミュニケーションのエラーをいかに防ぐかは重要なミッションであり、そのために様々な研修を取り入れたりもしている。ではブライダルはどうだろうか。
企業の収益を決定づける新規接客において、どうすれば契約締結まで至るかのテクニック論は進んでいる業界だと言っていい。一方で、そのテクニックを扱う個々のスタッフに対するコミュニケーションに関するとレーニングは、どちらかと言えば二の次になってしまっている。そうなると起こるのが、テクニックに依存しすぎる現場意識だ。コロナ禍以降、顧客の傾向も大きく変化している以上、テクニック自体もアップデートが求められている。ところが肝心のコミュニケーションに課題を持っていれば、目の前の顧客が何を考えているのかの受け手としての認識も薄い状態であり、テクニックをどう変えていったらいいのかも分からないわけだ。
最近は結婚式に大して価値を感じていない、何となく来館するカップルも増えている。そもそも結婚式を実施するかどうか自体を、迷っている人も多い。ゼクシィの誌面を見て、いくつもの会場の中からここで結婚式を挙げたら素敵だとポジティブな意識を持っている人であれば、比較検討の式場の中から自社の優位性を高めればいい。現在はどれだけ優位性を高めても、「やっぱり結婚式は止めよう」となる可能性も高まっている。目の前の顧客は果たして結婚式をしたいのか、それとも迷っているかの二択からのスタートになり、その段階でもコミュニケーションによって2 人の意図を把握していかなければならない。言ってみれば、結婚式に対する価値観という側面において、端から【コミュニケーションギャップ】が存在している。
コミュニケーションは、対顧客だけではなく、社内においても重要なこと。今回取材したホテルウエディングであるが、なかなか力を発揮できない理由として、セクショナリズム問題がある。本来であれば様々な設備を設け、さらに専門人材が揃っているにもかかわらず、部署間の連携不足で力は発揮されていない。特に多くの部署と関わっているブライダルでは、いかにコミュニケーションを深めていけるかで結婚式集客、受注、満足度に影響してくる。これは何もホテルに限った話ではない。内製化をしている企業でも部署間の見えない壁が存在しているケースはあり、さらに外注であればコミュニケーションは企業の垣根を越えなければならない。その課題を払拭できずにいれば、情報共有のミスは頻発し、顧客満足は大きく棄損していく。
顧客、働く人も多様化している時代だからこそ、求められているのはコミュニケーションスキルの向上だ。基本となるコミュニケーションスキルをしっかりと教育しておかなければ、上塗りで様々なテクニックを教えても使えないままになる。ブライダルの場合、人当たりのいい【コミュ力】が高いという前提はあるものの、それはあくまでも人柄に過ぎない。様々な価値観の相手に信頼を与え、しっかりと言葉を受け取り伝えていく術を養えるかどうかが、業績にも大きく影響する。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月21日号)