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  • 社説:潮目
  • 24.12.11

高く販売するシーズンにはパートナーとの条件も変える

 ダイナミックプライシングが、様々な分野に広がっている。需給に応じた変動価格制であるが、そもそもブライダル業界では以前からこの対応は一般的であった。需要の急増する春・秋の繁忙期は、より多人数かつ割引なしの定価で、それ以外のシーズンは割引により低価格で販売している。最近導入している多くの企業の需要増に応じた値上げとは逆の形であるものの、変動価格制でオフシーズンの受注を促進している。
結婚式場がハイシーズンに高価格で販売している一方、パートナー企業との取引条件は年間通して変動することはない。式場側からすれば、高価格と言ってもそれが定価であり、割引している時期にパートナーへの支払いを減らしていないからこそ、年間通じて変わらないのは当然というのも一理ある。モノを提供している場合はそれでも問題ないが、人によるサービスの業種では、需要が一気に高まるハイシーズンはそれだけ外部人材の確保を余儀なくされる。限られた技術者の取り合いとなればギャラは高まっていき、ハイシーズンになるほどコスト増となってしまう。
こうしたパートナー企業が自社対応できるだけの人材を正規雇用しておけば、ギャラの高い外部に頼る必要はなくなるものの、繁閑差の激しいブライダルのオフシーズンを考慮すれば、一年間の数ヵ月だけのために正規雇用の負担を抱えるのは不可能なこと。さらに人材不足の顕著な状況で、今後も外部人材のギャラはますます高騰するのは確実であり、式場と従来の取引条件が維持されれば、仕事をすればするほど、収益は悪化してしまう。現実として、パートナー企業の人材確保の状況は悪化しており、ハイシーズンに対応しうる人手を揃えることも困難となっている。
この構造で生じるのは、結婚式の施行クオリティの悪化だ。人の手に頼らざるを得ない結婚式だからこそ、その技術力、サービス力は即クオリティに影響する。ハイシーズンだからと、他の時期よりも明らかに高い買い物をしているユーザーに対し、対応できる人も限られているため結果としてスキルの乏しい人材を充てなければならないというのは、商売の常としてはあり得ない事態だ。本来であれば、高い買い物をしているからこそ、安価なユーザーよりもレベルの高いサービスを提供すべきである。
式場としては、集客力を高めて繁閑差を極力抑え、年間を通じた安定的な仕事を発注すればパートナー側も計画的な対応を出来るようになる。それが難しい状況では、繁閑差を考慮したパートナー企業とのダイナミックプライシングを検討することも必要だろう。自らも高い価格で販売している時期には、その分をパートナーとの取引価格にも反映していく。パートナーの技術力、サービス力を一定担保するためには、そうした判断も求められている。
現状は、それでも何とか人手は確保できているが、これからはそもそも人を確保できなくなってくるだろう。パートナー各社は、絶対に仕事に穴をあけてはならないと、時には遠距離から人を呼ぶために新幹線代金を支払い、その施行は赤字になっても対応している。ただ、それは長く続かない。実際に低価格、また安定的発注の見込めない式場との取引を見直す動きも出てきている。パートナーが式場を選ぶ時代に入っているとも言え、そうなれば結婚式の満足度以前の問題として、結婚式を実施できるかどうかを迫られる可能性もある。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月11日号)