公正取引委員会は11月12日、HP上に『株式会社KADOKAWA及び 株式会社KADOKAWA LifeDesignに対する勧告について』の情報を掲載した。これは両社への調査によって、下請法第4 条第1項第5 号の（買いたたきの禁止）に掲げる行為に該当し、同項に違反する事実が認められ、勧告を行ったことを明らかにしたもので、各メディアのニュースでも数多く取り上げられた。このタイミングでの発表は、11月1日からスタートした、フリーランス保護法に対する、公正取引委員会の厳しい姿勢を示していると考えられる。
　違反事実の概要を追っていくと、両社は雑誌「レタスクラブ」の発行において、個人又は資本金が5000万円以下の下請事業者に対し、記事作成及び写真撮影業務を委託。昨年1 月、雑誌レタスクラブ事業における販売収入や広告収入が減少傾向にある中、自社の収益改善を図るため、下請事業者に委託する際の発注単価を改定する「原稿料改定のお知らせ」文書を通知した上で、十分な協議を行わずに発注単価を従前の単価から約6.3パーセントないし約39.4パーセント引き下げることを一方的に決定したというもの。またKADOKAWAから今年の4 月にレタスクラブを承継したLifeDesignも、発注単価について下請事業者と十分な協議を行うことなく、承継前に一方的に決定した単価をそのまま適用した。
　これが違法ということで、両社に対しては、下請代金の額について、一般的な対価に比し著しく低い額ではない額まで、遡って引き上げるよう勧告。つまりその差額分について、下請けに支払うべきという見解を示した。この金銭的な負担のみならず、HPへの掲載で両社の違反状況が白日の下にさらされ、社会的な損失は大きいと言える。
　

（詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月21日号）