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  • 社説:潮目
  • 24.11.16

超繁忙期の音響会社の厳しさ

11月の金曜日、取材に訪れた音響会社では、社員達があちこちに電話をかけまくっている慌ただしい光景。明日、明後日の土日の施行を担当する音響スタッフが、あと2 人アサイン出来ていないという。定期的に取引のある式場のアサインは数ヵ月前に済ませているものの、超繁忙期になると緊急のスポットの依頼も次々に舞い込む。以前働いていた人に今週だけでも対応してくれないか、同業他社に余剰人材はいないかといった電話をかけまくるのは、施行繁忙期の10月、11月には恒例となっている。
 音響を担当するスタッフもまた、人手不足は深刻だ。もともとこの分野で働くのは、趣味や仕事などで音響機器に触れていた経験のある人が多い。そのため機器操作の一定の知識を持ってはいるものの、ブライダルの仕事の場合、披露宴の流れやタイミングなども学ばせなければならない。初めは先輩と一緒に会場へ同行させながら、1 人で担当できるようにするまでは数ヵ月かかる。同行とは言え仕事に対する報酬は必要であり、当然式場から支払われないため、その期間は音響会社が持ち出しで負担している。 教育期間に先行投資をして独り立ちさせても、すぐに辞めてしまうことは珍しくない。音響は結婚式の進行に大きな影響を与えるため、わずかなタイミングのミスでクレームに発展しがち。独り立ちしたとはいえまだ新人のスタッフゆえに、ミスの可能性も高く、そこで式場側から厳しく叱責されればこの仕事は向いていない、プレッシャーに耐えられないと辞めていく。もともと土日を使い副業気分で働いている人材も多く、そこまでの責任意識はない。音響会社にとっては、先行投資をしながら、ようやく回収できるとなった途端に辞めてしまうのは厳しいのも当然だ。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月11日号)