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  • 24.05.21

《ありがとう桂由美さん》パリやニューヨークに同行 日本人のプライドを発信【全米ブライダルコンサルタント協会(ABC協会)ソフィア通商・代表取締役 小原 義之氏】

 桂由美先生と私が初めてお会いしたのは、1993年にブライダル産業新聞社が主催した衣裳業界関係者向けの会合の場でした。当時、日本で初となる欧米ドレスメーカー代理店業務を開始していた私などの話を熱心に聞く桂先生のご様子は驚きでしたが、こうした先生の業界動向への探究心は年齢を重ねても衰えることなく、最近も「黒ドレスを求める花嫁が増えているわね」、「欧米では挙式での宗教離れが進んでいるそうね」といった話題など、いつも電話をしてこられては最後まで情報収集をされていたものです。
 2002年、全日本ブライダル協会とABC協会との提携の話し合いを通じてご信頼をいただいたことがきっかけで、2003年のパリコレデビュー、翌年のニューヨーク・プラザホテルでのアジアブライダルサミット、再進出となった2011年ニューヨークドレス展示会出展など、その後国内外でご一緒する機会をいただきました。そして私の経験からも、桂先生がパリ留学中や、特に欧米でのビジネスでは人種差別や偏見にも多く直面されてこられたのではないかと感じていました。パリコレの世界最高峰の舞台演出家に対しても一切の妥協を許さない(そのため周りの関係者は極限を求められるわけですが)。アジア各国の婚礼関係者の発表でも、桂先生自らが一字一句を確認し、時間が押していても必ずすべてを披露させる徹底ぶりでした。これは、単なる婚礼の枠を超えて、日本人としての誇りや、アジア人としての世界への発信の必要性を生涯にわたって実践された証だといえます。
 2015年のパリコレの時は、先生と市内で開催中のメゾン・エ・オブジェ展示会を訪問。そこで、日本の伝統業者に対して日本文化のさらなる発信を応援する姿からも、世界における日本人としてのプライドを感じたものです。一方で、「芸能人の方を使わないと日本ではニュースにもしてくれない」と、欧米と違い日本ではファッション業界の発信がいかに弱いかのジレンマも感じていらっしゃいました。
 パリコレではジャンポール・ゴルチェ氏ら世界の業界トップが、NYではハリウッドスター並みのトッププランナー、コリン・カウィー氏らが表敬訪問に来られるなど、「世界に認められる」ではなく、「世界から尊敬される」日本の婚礼業界人は後にも先にも桂先生のみではないでしょうか。天国でやっと大好きなご主人と再会できますね。ありがとうございました。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月11日号)