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  • 社説:潮目
  • 24.05.10

料理は事実を並べる必要 美味しいでは興味も湧かない 

 山形駅から車で50分、農村地帯にあるジンギスカンレストラン【ひつじや】。ブライダル業界の有志8 名で食事に行き、フルコース、ナチュールワイン3 本( 2 本はメガボトル)を注文して料金は17万円超。一人2 万円以上であったが、果たしてこれを高いと取るか、安いと取るか。 
 ジンギスカンという一般的にも安価なジャンルで、しかもアクセスは車がないと行けないような田舎。確かに2 万円超という料金だけを見れば高いというイメージになるものの、それを安いと感じさせるのが飲食店の価値である。 
 この店は羊飼育農場併設であり、店主自ら200頭ほどを飼育している。手塩にかけて育てた羊を、1 週間に1 頭分のみ羊肉として提供するため、在庫状況によっては臨時休業となる。完全貸切り制で、予約を取るのも困難だ。 
 100%自家飼育の羊肉は臭みもなく、ジンギスカンやラムしゃぶはレアで充分。コースには、羊肉の刺身もある。また羊肉以外にも、セリやコゴミ、行者にんにくなど、地元でとれた野菜、山菜類をふんだんに使用している。ナチュールワインも、評価の高い山形産にこだわり、まさに地産地消を大切にしている店だ。 
 先日、ある会場の経営者と結婚式料理についての話題になった。ブライダルの取材をしていると当然料理に関する話になることも多く、おしなべて自会場の料理は美味しいと語るわけだが、そもそも美味しい、美味しくないは個々人の主観に寄るところであり、果たしてどれだけユーザーに伝わっているのかという質問をした。その回答として、料理に関するストーリーをどれだけ伝えられるかが重要とのことだった。食材・調理方法(手作りかそうでないかなど)へのこだわり、シェフの経歴、誰がその店のファンであるかなど。それを伝えるだけで、美味しいと思わせられるかが大切と。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1日号)