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  • 社説:潮目
  • 23.12.31

減ってしまった列席体験 本物の結婚式に参加してもらう

 20代前半の若者たちに聞くと、結婚式への列席体験がこれまで以上に少なくなっていることがよくわかる。結婚式の魅力を業界側からどれだけ発信しようとも、消費者自身の体験がこれだけ欠けていていはなかなかそれも伝わりきれない。自ら列席して様々な感情を抱いたからこそ、結婚式の価値を伝えれば説得力もあるが、何も知らない人からすればお仕着せがましいと思われやすい。コロナ禍の結婚式中止、少人数化の影響は今後も負の遺産として重くのしかかることとなり、それを解決するためには様々な形で列席体験を提供する取り組みが早急に求められる。
 期待されるのは、全国各地のブライダル専門学校で実施している挙式のプランニングだ。学生のブライダルに対する実践的な技能を高めるための目的で実施されており、最近では本当の新郎新婦を公募するケースも増えている。模擬挙式も悪くはないが、本当の新郎新婦に参加してもらうことにより、挙式のひしひしとした緊張感や2 人の背景、想いを表現したリアル感、さらに家族をはじめとした列席者との関係性を踏まえた感動も大きく異なる。このせっかくの取り組みを、学生の学びのためだけではなく、多くの人の列席体験に繋げることが出来ないものか。
 最近多くのハウスウエディング会場では、開かれた結婚式場を目指して地域住民や子どもたちを招くイベントを開催している。これは地域における結婚式場の認知を高める目的から、定期的に開催しているケースもある。子ども心に特別な場所を訪れた思い出は強烈に残るのも当然で、10年後、20年後に向けた大切な種まきともいえる。
 それならば、この両企画を融合することにより、本当の結婚式を多くの人に体験させる機会を作れないものだろうか。挙式作りを会場のアドバイスのもと専門学校生が進め、新郎新婦も公募。それを地域の人を招く結婚式場のイベント内で実施する。列席に意味づけし新郎新婦に対する感情移入をしてもらうため、イベントに参加した地域住民や子どもたちには装飾制作、演出など何かしら結婚式作りに関われるようにしていく。その際には新郎新婦の背景を伝えて、自分たちの関わったものにどのような意味があるのかも説明。本当の結婚式だからこそ真剣に挙式に向き合うことができ、貴重な結婚式への列席体験となる。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月21日号)