NEWS

ニュース

  • 社説:潮目
  • 23.10.22

コンペ・相見積もりの弱点 課題解決の目的が見失われる

 「相見積もり、コンペで安い料金を提示した企業に負けた」。こうした話は、取材をしているとよく聞く話だ。調理部門が食材を仕入れる際に、より条件のいい仕入れ先を選定するなど、『モノ』の購入に関しては相見積もり、コンペもまだ分かる。ところが『コト』に対しても当然にように行われているのは、購入をしようと考えた本来の意義を見失う可能性も出てくる。
 撮影ディレクションの会社から聞いた話としては、コンペのために自社のノウハウを詰め込んだ企画書を作成。結果として一番安い料金を提示した会社に決定したわけだが、出来上がった写真を見ると自社で提案していたテイストや構図がそのまま使われていたという。こうなるとコンペに出ることそのものが、自社のノウハウを真似されるリスクとなってしまう。コンペの内容を最終的に決定した他社に漏らしているのはクライアント側であり、これはビジネス倫理に欠けている。
 撮影以外にも、各種デザイン、コンサルティング、運営受託などが『コト』である。こうしたサービスを外部に依頼する際に、クライアント側は課題解決を目的としている。現状の課題を撮影、デザインによって解決を図ろうというのが真の目的であり、そうなると相見積もりやコンペの性質には合わないはずだ。相見積もり、コンペにおいては一定の条件に揃えるわけだが、そうなると参加企業としても条件内での提案に限定され、課題解決のサポート内容までは出しにくくなる。結果、安い料金でサービスを購入することは出来ても、課題解決には至らず、つまり効果も思った通りに出ない。
 さらに相見積もり、コンペで毎回安い料金を提示した企業に決定してしまうようなクライアントに対して、力を入れて課題解決の提案をすることもなくなる。多少高くても効果的な課題解決を成し遂げてくれるスキルの高い企業ほど参加することを控えるようになり、本来の目的はさらに遠のいてしまう。クライアント企業にとって、成長に向けた大きなチャンスを自ら逃すことであり、ただ安く提示する企業ばかりが周りを固めてどんどん質は悪化していく。コンペ内容を他社に渡して、安価な料金で対応してもらうような倫理観を持たない企業であれば、なおさらのことだ。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)