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  • 23.03.20

:連載75:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第75回ブライダル法務Q&A vol.15「『フリーランス保護新法』が成立間近」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

今回は、今の通常国会に提出され審議中の『特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(いわゆる『フリーランス保護新法』案)』について、Q&A形式で解説します。

Q.現在国会で審議されている『フリーランス保護新法』はどんな法律なのでしょうか。
A.働き方の多様化が進み、フリーランスとして働く人が増加したことを背景に、そうした人々が安定的に仕事をできる環境を整備することを目的として、フリーランスに仕事を発注する事業者に様々な義務を課す法律です。現在会期中の通常国会で成立することが見込まれています。

Q.この法律で保護される「フリーランス」とはどんな定義ですか?
A.同法案の第2条第1項では、① 従業員を使用していない個人② 社長一人のみの法人が「特定受託事業者」と定義されています。法人化はしていても1名で仕事をしている、いわゆる「一人社長」も保護の対象となる予定です。

Q.フリーランスに仕事を発注する側は、どのような義務を課せられるのでしょうか。
A.まず、口頭やLINE等のみで簡易に契約をすると後日トラブルが発生しやすいことから、フリーランスに委託する業務の内容や報酬の額等を、書面その他所定の方法で明示しなければならない義務が生じます。なお、これはフリーランスがフリーランスに業務を委託する場合も同様。次に、支払期日について、商品やサービスが給付された日から60日以内に支払う義務が生じます。その他、『下請法』でも禁止されている、受領拒否、報酬減額、買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請等の禁止事項の多くが設定され、また、フリーランスが育児介護等と両立して仕事をしやすいような配慮や、ハラスメント行為があった場合に相談対応ができる体制を整備する義務等が規定されています。

Q.下請事業者を保護するという観点ではすでに『下請法』があり、過去にはブライダル業界における勧告事例もありましたが、それに加えて、なぜわざわざ『フリーランス保護新法』が検討されているのでしょうか。
A.『下請法』は、発注主の横暴から下請事業者を保護するために作られた法律ですが、適用されるには、資本上の関係性として発注主が「大」で下請事業者が「小」という関係性の存在が前提。発注主の資本金が一定の基準を下回りこれを満たさない場合には、いくら無茶な事案であっても『下請法』では下請事業者を保護できない場面がありました。今回の『フリーランス保護新法』では、発注主の資本金制限を撤廃し、フリーランスの保護を徹底しようという考えで設計されています。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)