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  • 22.01.09

:連載61:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第61回 新企画ブライダル法務Q&A vol.1「婚礼規約」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

 新年あけましておめでとうございます。2022年がブライダル業界反転攻勢の1 年になるよう心からお祈りするとともに、BRIGHTが、このコラムが、少しでもお役に立てることを願いながら、「ブライダル法務Q&A」をお届けしていきます。第1 回は「婚礼規約」についてです。

Q.昨年BIAが13年ぶりに「モデル約款」を改訂しましたが、そもそもブライダル事業において「婚礼規約」の制定や説明は法的な義務なのでしょうか?
A.不動産や保険の取引とは異なり、法律上の義務はありません。ただし、「婚礼規約」等で予め説明し、同意を得ていない内容を新郎新婦に遵守してもらうことは法的には無理がありますので、現実的には「婚礼規約」を作らないという選択肢はないのではないかと思います。
Q.では、BIAの「モデル約款」と同じ内容にしないといけないのでしょうか?
A.BIA自身が説明しているように、あくまで「モデル約款」はモデルとしての機能を果たすものであって、これを参考に各事業者が各々の事情にあわせてオリジナル規約を作成することを想定しています。「モデル約款」の制定には、大学教授、経済産業省、国民生活センター等多方面の関係者が関与していますので、参考にする価値は充分にあります。
Q.「婚礼規約」は民法上の定型約款に該当するのでしょうか?
A.鉄道の運送約款や電気・ガスの利用約款のように不特定多数に対して一律に適用される約款は民法上の定型約款に該当しますが、結婚式の契約については、事業者側に個別の顧客と契約するしないを判断できますし、顧客によって特例を認めることは珍しくないため、定型約款には該当しないと考えています。
Q.「婚礼規約」を策定する上で特に留意すべき法律はありますか?
A.不動産や保険と違ってブライダル事業そのものを規制する法律はありませんので、一般的な法令を広く留意する必要があります。その中でも特に重要なのが消費者契約法です。キャンセル料の設定水準を巡っては、この法律上の規制の適用に関連して過去に裁判まで行われていましたので、新たに制定、または見直す場合には必ずこの法律との整合性を確認する必要があります。説明が不足していた場合にはこの法律に基づき「不利益事実の不告知」に関する責任を問われるリスクもあります。
Q.もし「婚礼規約」に規定していない事情が発生した場合はどのように取り扱われるのでしょうか?
A.日本の法律が想定している優先順位は、原則としてまずは当事者の合意、次に法律、という順番ですので、会場と新郎新婦とで合意していないこと、つまり「婚礼規約」に書かれていないことがあれば、その範囲においては法律が適用されます。ただ、法律はブライダル事業だけを想定して作られているわけではないため、法律が適用された場合の結論が必ずしも妥当な場合ばかりとは限りません。だからこそ「婚礼規約」において、想定される場面をきちんと押さえておく必要があるのです。
Q.元々会場で勤めていて、フリープランナーとして独立します。会場で使用される「婚礼規約」をそのままプロデュース用の規約として使用しようかと考えていますが、問題あるでしょうか?
A.お世話になっていた会場の「婚礼規約」を、許可を得ずにそのまま使用することが道義的にどうなの?という問題とともに、法的な意味でも大きな問題があります。会場の「婚礼規約」は自らが施設を保有し、自ら調理も行い、料飲を提供することを前提に作られています。一方で、一般的なプロデュースサービスにおいて、フリープランナー自身は施設を保有しているわけでなく、調理をするわけでなく、また自らの事業として料飲を提供することもありません。新郎新婦に提供するサービスが異なりますので、同じ「婚礼規約」の内容になる訳がありませんし、食中毒や会場事故等万が一の事態が発生した場合の責任分担も決めておく必要があります。サービスが変われば「婚礼規約」も変わるのだ、という点はご注意ください。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)