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  • 21.10.24

:連載58:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第58回『第58回『ブライダル法務六法全書 ~仕事に使える法律を厳選解説~ ⑧民法Ⅵ』~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

今回は、昨年の民法改正で新たに導入された「定型約款」について解説します。

1.今回取り上げるテーマ
昨年4月に民法が約120年ぶりに大改正されるにあたって、新たに登場したのが「定型約款」についての規定でした。
「定型約款」とは、鉄道の運送約款や電気・ガスの供給約款のように
① 不特定多数を相手にした取引であること
② 契約の内容が画一的であることが双方にとって合理的であること
③ 契約の内容とすることを目的に作られたものであることという条件を満たした約款のことで、これに該当する場合には、利用者に対して「この条項はこういう意味です」と個別の条項を説明して合意を得なくても、まるっと「定型約款の内容で契約する」との合意さえあれば約款全体についての合意があったとみなされる他、一定の条件を満たせば相手方に個別の合意を得なくとも約款の内容を変更できたりします。なお、このように定型約款を設ける事業者側の利便性を確保する一方で、その内容については「利用者の利益を一方的に害するものは合意の効力が認められない」などと利用者を保護する観点から一定の制限も課されています。

2.婚礼の約款・規約は「定型約款」に該当するのか?
それでは、一般に婚礼の現場で使用されている「婚礼約款・規約」は「定型約款」に該当するのでしょうか?この点、一部には「定型約款」に該当するのではないか?という指摘もあるようです。
ただ、まだ民法が改正されて日は浅く現時点においてその点について判断した判例等があるわけではないものの、以下の理由から、筆者は「定型約款には該当しない」と認識しています。
( 1 )婚礼会場は新郎新婦なら誰でも契約をするのではなく、条件のあう新郎新婦とのみ契約をしていること(「不特定多数」を相手にしているわけではない。)
( 2 )新郎新婦ごとの事情により「特別に当日支払いとする」「特例で持ち込みを認める」など契約内容が変更しうること(画一的であるとは必ずしもいえない。)
要するに、民法で新たに定められた「定型約款」とは、鉄道会社や電気・ガスの供給会社のように「あなたとは契約しない」とか「あなただけ特別条件とする」など顧客によって契約内容を変えない(変えられない)取引を前提にしたものであって、結婚式の契約のように、契約するか否かをお互いに判断でき、また事情をくんで時に契約内容が変更されるような取引を前提とした「婚礼約款・規約」が「定型約款」に該当するための要件を満たすとは、まず考えられません(なお、民法改正を巡る国会の審議において「ホテルの宿泊約款」は「定型約款」の例として挙げられていたので混同にご注意ください。)。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)