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  • 社説:潮目
  • 21.08.05

新規事業に成功する企業

 昨春のコロナ禍以降、都内にSDGsをコンセプトにしたレストランを開店したほか、ハネムーン旅行会社の閉鎖に伴いその場所に花屋を出店、さらにEC事業においては野菜を使ったクッキーを開発するなど相次いで新規事業を立ち上げてきたのがタガヤ(京都市中央区)の神田尚子社長だ。ECの売上もそれ以前に比べて30倍にまで高まるなど、1年を経てそれぞれの事業が少しずつ実を結び始めている。新規事業の積極展開に対して神田社長は、「結婚式業に対する金融機関の貸し渋りが始まっているが、一方で新規事業への投資という名目であれば銀行のスタンスも大きく変わる。」と語っている。
 既存のビジネス、結婚式だけでは厳しい状況にある中、国としてもそれ以外の新たな収益源の確保を推奨しており、その投資に対して補助金を支給している。金融機関も同様で、結婚式の復活をただ待っているだけでは、融資がスムーズに下りることは難しくなっている。
 ただ、新規事業を軌道に乗せるまでにはやはり時間もかかる。お金に関しては前述した補助金や融資によってカバーできるものの、収益化までに時間がかかるとなればリソースを費やしていくべきかの判断に悩み躊躇してしまうものだ。また、時間がかかるというのは事業スタートから軌道に乗るまでだけでなく、事業スタートまでに積み重ねてきた時間という意味もある。新規事業を軌道に乗せた会社には、それ以前に時間をかけてリソースを積み重ねてきたという点が共通している。
 今号に掲載している対談でブライド・トゥー・ビーの伊藤誠英社長も語っているが、1年で軌道に乗り始めたスイーツ販売も、実はこれまでに同社が進めてきた人が辞めない仕組み作り、パテシエの腕を磨くための技術研鑽の機会の提供、さらに新規事業に積極的にチャレンジするという企業カルチャーの醸成という積み重ねがあったからこそ。これまでかけてきた時間が、コロナにおける新規事業の成功に繋がっている。これはタガヤのケースも同様で、もともとEC事業を展開してきた実績、スタッフの会社に対するエンゲージメントがあったからの成功と言える。つまりコロナ禍の新規事業へのチャレンジや成否は、それ以前の積み重ねが試されている。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)