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  • 社説:潮目
  • 20.12.02

約款を理解させる努力を

 東京では1日の感染者数が500名を超え、全国的にも過去最多が日々更新されている状況。ブライダル業界にとっては、10月、11月の最繁忙シーズンは何とか乗り越えられた状況であるものの、年末年始の新規集客への影響が不安視されている。それでも、安心・安全を追求してきたこれまでの取り組みを信じて、前に進んでいくしかない。
 感染拡大によって消費者の不安がさらに高まれば、年明けから春までに積み上がっていた延期分の開催にも影響してくる。会場にとっては、再びキャンセル・延期対応に頭を悩ませることになる。今年の4月以降の緊急事態宣言発令時は、ある意味その対応もハッキリすることが出来た。政府が不要不急の外出を制限したことで、会場側としても施行しようにも難しい状況であったからだ。

 一方、緊急事態宣言後に関しては、自治体の自粛要請もバラバラであり、しかも何らかの制限があるわけでもない。言ってみれば「自分達で考えて」ということで、そうなると新郎新婦、その周囲の人たちの考えも様々だ。会場の対応としてある一定の基準を作ったとしても、感染不安への意識が異なる一組一組への細やかな対応が求められ、納得させられなければ再び多くのクレームが発生するリスクが浮上する。
 そうした中でBIAがスタートしたのが、モデル約款の見直しだ。ポイントの一つは、コロナ感染拡大を始めとした、自然災害など不可抗力の事態に対するキャンセル・延期措置について。昨年の台風に引き続き、今年のコロナ感染の事態で、結婚式場の契約に関して消費者からの不満が高まり、実際に国民生活センターへの相談も一気に増加した。今後もこうした不可抗力の状況が発生することは十分に予想されるため、モデル約款で基準を明記しておくことが大切でもある。業界においても、時代背景を踏まえた約款への期待は高まっている。

 消費者の不安、不満を極力解消し、かつ事業者の利益を守るためにも、新しいモデル約款策定までの流れは今後も注目していきたい。一方で、どんなに素晴らしい約款が出来たとしても、それをきちんと顧客に説明し理解させていくという意識がなければ、契約を巡るトラブルは解消されないのも事実だ。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月21日号)