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  • 20.10.09

《プランナーの奮闘:コロナ禍の新郎新婦》往復4時間をかけて新郎の親に開催の意義を伝える

 指宿白水館(鹿児島県指宿市)のプランナー・藤迫正幸さんは、「コロナ禍だったから式を挙げられなかった」とカップルがのちに後悔してしまわないよう、2人だけでなく家族への説得を繰り返している。

 藤迫さんが所属している旅館では、式の延期よりもキャンセルを希望するカップルが多い。鹿児島県は感染者数が少ないものの、パーティでのクラスター発生を両親が懸念するケースが多々あり、開催に後ろ向きになりやすいという。
 そのなかで藤迫さんはコロナ禍でキャンセルを希望した1組のカップルに、中止ではなく式の延期を勧めた。2人とその両親は100名規模の披露宴を予定。多人数で楽しく過ごすパーティをイメージしており、それが叶えにくいこととと、感染を恐れてキャンセルを希望していた。
 そこで藤迫さんは、旅館から片道2時間かかる新郎の実家を訪ねることを決意。結婚式はただ集まって楽しむだけのものではなく、息子夫婦たちの感謝を受け取る、伝え合う日でもあると説得しに向かった。
 「カップルの両親が農家だったため、作業服で畑を訪問(笑)。農作業を手伝いながら開催への不安や、新郎たちへの期待を聞き仲を深めました。それから3日後、『少人数でも家族でお祝いの場を設けたい』と新郎の両親から連絡が。挙式と前撮りの実施が決まりました。」
 藤迫さんにはコロナ禍のような厳しい状況でも、結婚式を諦めてほしくないと考える過去の苦い思い出がある。それは幼い頃に亡くした弟の陰膳を用意できなかった、自身の結婚式だ。
 「私が結婚したのは、この仕事に就く前。当時は自分の担当プランナーに内容を任せっきりでした。弟に式を見てほしかったなという想いを抱きながら挙式を開催。ところが数年後の妹の結婚式で、担当プランナーが弟のために陰膳を用意してくれたのです。そのはからいに『なぜここまでしてくれなかったのだろう』と悔しく、悲しい気持ちになりました。大切な家族との一度きりの場面で、全てのカップルに絶対に後悔してほしくない。コロナ禍であっても、結婚式をする意義がある。その想いで接客に臨んでいます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月1日号)