NEWS

ニュース

  • 連載
  • 20.08.31

《転職相談から読み解く》本人のスキルや特性を生かした人事制度の重要性【TIPLOG CAREER 代表取締役 高津守氏】

お悩み Case.5 33歳(女性)元ウエディングプランナーさんからの転職相談

【優秀なプランナーは優秀なマネジャーになれる?】

 関西エリアのゲストハウスにて1つのチャペルと2つのバンケットがある会場にて支配人をしている女性からウエディング業界をやめて別の業界に行きたいと相談を受けました。大学を卒業後、新卒で入社し、現在10年目。これまで一貫性で新規接客からプランニング、当日のサポートまで行うプランナーとして活躍し、お客様からも絶大な評価をいただく優秀なプランナーでした。2年ほど前にその実績が会社から認められ、会場の支配人としてマネジメントのポジションに昇格。会社から認められたことはとても嬉しいことではあったものの、プランナーとしてカップルとの打合せなど一線から退く形になりました。 マネジメント職を一生懸命に取り組んでいましたが、業績は思うように上がらず。会社から指摘をうけることが増え、周囲からも成果を出せない支配人とレッテルを貼られてしまっているようです。自信を失い、ブライダルではない別の業界に転職を考え始めたそうです。

 このケースを元に、企業およびブライダル業界について考えてみましょう。
 はじめに着眼したいポイントは、会場支配人としての育成システムやサポートはしっかり行われていたのかということ。一般社員から主任になり、セクションを取りまとめる課長になり、全体をまとめる支配人へと昇格。それぞれの役職によって、あるべき人材像やマネジメントをする上でのスキルを磨くサポートが必要です。これまで本人は部下で上司からマネジメントされる経験をしているからやり方は理解しているだろうとポジションだけ与えてサポートしていない会社が多くあるのではないでしょうか。マネジメントとリーダーシップ、支配人クラスになれば、ヒト・モノ・カネと経営の様々な領域を踏まえて会場を動かしていく必要があります。そのためにも本人の独学やセンスだけでなく会社や上司からサポートも必要になってきます。

 次に、抑えておきたいのが本人の特性を理解しておくということ。これはブライダル業界だけなく日本の企業全般で言えることですが、実績を残している人材はマネジャーになるというレールです。日本の給与制度の多くは役職給などで差をつけていくケースが多く、昇格しなければ給与を多く支払うことができない場合が多いです。例えば営業マンの売上成績がトップを連発している。だからマネジャーに昇格させる。マネジャーになったが組織をまとめる力がなく出来ない社員として降格させられるケースが多くあります。押えておきたいポイントは優秀な営業マンが必ず優秀なマネジャーになる保証はないということ。よくスポーツ界でも言われますが、優秀な選手が名監督になる保証はないのと同じです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月21日号)