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  • 20.06.25

:連載42:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第42回『婚礼規約パーフェクトマニュアル<第4回 非常事態編②>』~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

8.非常時の特則

第◯条 非常時の特則
 台風、地震、竜巻または大雪等の自然災害や、新型コロナウイルス等感染症の大流行が発生した場合の他、非常事態により挙式・披露宴の開催に疑義が生じた場合には、別紙「非常時の特則」規定の取り扱いとなります。

 コロナウイルスに限らず、台風や地震などの自然災害により結婚式の開催の可否に疑義が生じる場合のルールを規定する上で、大切なポイントは以下の3点だと考えます。

ポイント① なにをもって「非常事態」と判断するか?
 コロナへの不安から顧客より「解約したい」「日程変更したい」という声が寄せられたと思いますが、その際に特別対応をするのか、または婚礼規約通りの対応をするのかを判断する「境界をどう設定するか」という点は、ルールを作成する上でまず考えるポイントです。
 例えば、不運にも緊急事態宣言期間に施行日がぶつかってしまった顧客には特別対応すべきではないか、という方針に異論をはさむ人は少ないとは思いますが、では緊急事態宣言の直後はどうか、3カ月後はどうか、半年後はどうかと考えていくと、特別対応の適用対象を決めるのは簡単ではありません。誰もが納得しやすい基準を設ける必要があります。
 そこでBRIGHTでは、その判断軸を「公的機関の決定」に置くことを提言しています。例えば「知事からこんな要請があったら」等その判断軸を公的機関の決定に置き、それを予めお客様と合意しておけば、少なくとも特別対応が適用されるか否かの境界は明確ですし、それを巡っての見解の違いは防げるでしょう。

ポイント② 「非常事態」発生時には誰が決定権をもつか?
 非常事態発生により結婚式の開催の可否に疑義が生じた場合、決行するのか、その日の開催は中止するのかについて「誰が決定権をもつか」はとても重要なポイントです。
 BRIGHTでは「会場」こそが決定権をもつべきと考えています。
 非常事態発生時に何よりも重視すべきは「生命や身体の安全」。施設の特性を踏まえて安全を脅かす危険性の有無または程度は、会場以外に判断しようがないでしょう。
 昨年10月の台風19号襲来時を思い出してみてください。「こんな台風が襲来するならとても開催はできない」と主張する顧客もおり、「台風襲来であろうとどうしてもこの日に開催したい」と主張する顧客もいて、一部の現場は混乱しました。
 「生命や身体の安全確保」の観点では「会場が決定権をもつ」という選択肢が最適です。もちろん、会場が恣意的に開催するか否かを決定できてしまうのは問題。しかし前述の通り特別対応が適用される基準を「公的機関の決定」と客観的な軸に置くことで説明がつくはずです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月11日号)