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  • 社説:潮目
  • 20.02.29

人気会場・商品の【パクリ】は 自らを埋没させていく結果に

 ホテルやブライダル会場のHPを制作している会社の社長は、「エリアで人気がある他会場のようなデザインにしてほしいという依頼が多い」と語る。この会社はアパレルや飲食店のHP制作も担っているが、他業種では自分たちの特徴を出したどこにもないようなデザインを依頼されるのに対し、ブライダル独特のこうした要望に首をかしげる。 
 宣材撮影を手がける会社でもこうした話をよく聞く。成功例をベンチマークするのは大切なことだが、花嫁に受け入れられている人気会場の写真と全く同じデザインを希望してくると。施設デザインやウエディングドレスなどでも、人気になったものを模倣しただけのいわゆる【パクリ】がどんどん登場している。
 ブランディングの観点では、こうしたパクリのクリエイティブはありえない。会社や会場を作る際には本来、経営者の思いを反映し、どんなことを伝えていきたいのか、どういう人にファンになってもらいたいのかといった考えがある。それがまさしくブランディングの源泉だが、いつの間にか流行だけに支配され、自社の特徴を打ち出すよりも、最も手っ取り早い人気デザインのパクリに走る。
 トレンドや人気会場のデザインを参考にすることなく、単なるパクリが増えていった結果、情報誌やサイトに掲載される施設や写真も同質化している。どこも同じようなコーディネートやデザインが並び、結果としてビジュアルでの差別化が見た目では難しくなっている。まさにレッドオーシャンの戦いを余儀なくされ、そこで勝ち抜くには他社よりも露出を増やすこと。つまり情報誌であれば、出稿量を増やすしか違いを生み出せなくなった。大手企業の戦い方としては、それも勝利の方程式の一つといえる。一方、中小会場はどうか。大手と同程度の広告出稿投資が出来なければ、どんどん埋没していく。結果、同質化の犠牲になるのだ。中小の戦い方としては、いかに違いを生み出すかであり、そもそも戦い方を間違えている。 
 (詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月21日号)