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  • 19.10.19

トップ商空間デザイナー杉山敦彦が語る【売れる施設づくり】【即効性】と【持続性】のバランス(THE WHOLEDESIGN代表取締役 杉山敦彦氏)

 新築や改装にあたっては、オープン後に一気に注目を集めるための【即効性】と、人気がいつまでも続くための【持続性】のバランスが求められます。昨今のブライダル市場では、オープン特需の効果が小さくなっているため、これまでにそれほど重視されていなかった空間デザインの【持続性】が特にクローズアップされています。3 年、5 年ごとにその時々の流行を追いかけた改装勝負を、永遠にやり続けるのか。それとも10年後、20年後を見据えて「こうなりたい」というブランディングに基づき、そこに向けて段階を踏んで育てていくのか。明らかに後者の考え方が重視されてきました。
 【即効性】ばかりを追った空間デザインとは、つまり流行をそのまま取り入れるということです。流行を要素として上手に取り入れることはもちろん大切ですが、特にマーケティング部門が強い企業の場合、今こういったデザインが流行っているからと、ビジュアルのみを優先してそのまま採用してしまうケースも多々見受けられます。もっともこうしたデザインは、完成したころには既に流行のピークが過ぎているということに気づくべきでしょう。
 デザインのプロではない社内の全員が納得するようなデザインとは、すでに多くの会場がやっていて見慣れているもの。今流行だからこそ、全員が賛成します。その時点ですでに遅れている状態であり、完成時点にはピークも過ぎ、あとは急速な下降線となっていきます。
 個人的に思うのは、社内の感度の高い20%程度の人が賛成し、他の80%が反対の意思を示す。つまり社内で賛否両論があるようなデザインこそ、流行の先取りができると考えています。みんなには知られていない、見慣れていないからこそ反対も出る。一方センスのいい感度の高い人には、面白いと感じられる。それこそが、完成した後にピークを迎えられる新しいデザインであり、実は【即効性】も高まります。
 一方、【持続性】とは、年数が経過しても常に新しく見えるものであるかどうかが大切です。例えば50年前の音楽を聴いたときに、誰もが知っているような流行のものは、懐かしい、古臭いといった思いが生じます。ところが同じ50年前の音楽でも、初めて聴いてみると新鮮に感じるものもあります。当時の流行に乗っただけか、そうでないかの違いです。これは空間デザインにも当てはまります。実際に15年以上経過している会場であっても、流行を追わずにストーリーやヒストリーを詰めていったところは、初めて行く人にも新鮮に映るわけです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)