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  • 19.09.21

トップ商空間デザイナー杉山敦彦が語る【売れる施設づくり】地方会場だからこそ勝てる(THE WHOLEDESIGN代表取締役 杉山敦彦氏)

 今回のテーマである地方会場のデザインですが、よく聞かれるのが大都市圏とは違うのだから、それほどオシャレなものは必要ないのではという言葉です。実際には、地方会場だからこそいいデザインが大事だと考えます。
 今の時代、20代、30代の人たちは、ネットやSNSを通じて、東京はもちろん世界の新しいデザインに常に触れています。しかも、飛行機や新幹線などを使って、短時間で簡単にそうした場所に行くこともできる。20代、30代のセンスは、大都市だろうが地方だろうがそれほど変わらないわけです。それを考えれば、地方だから新しいデザインは必要ないというのは、そもそもナンセンスではないかと。
 とは言っても、人口の絶対数が違うため、東京にあるような一部の人に絶対的な支持を得る尖ったデザインでは、なかなか受け入れられない可能性があります。大切なコトは、どの方向に尖っていくか。新しいものでかつ多くの人達に受け入れられるためには、自会場の強みをしっかりと認識した上で、ブランディングを確立し、それを表現したデザインが求められます。
 私がこれまで手掛けた事例として、長野の老舗ホテルのリニューアルがあります。あくまでもベースはそのホテルが培ってきた歴史であり、そのルールの中で新しいものを作っていきました。ブランドがあるからこそ、そこに新しいデザインを取り入れたとしても、顧客に違和感を与えることがないのです。
 また、茨城の新興住宅地にある会場は、ワンバンケットで200組を獲得し、レストランも予約が取れない状況です。この会場は新しくできる町の入り口とも言えるまさにシンボリックな場所にありますが、そのために建物が町のイメージを決めるわけです。強みを考えると、東京では難しい、広大な庭を作れるほどの大きな敷地がありました。それを最大限に生かす上で、建物全体を木で覆い、かつこれまでにないアジアンリゾートをテーマにしました。
 もう一つ重視したのが、持続可能性、サスティナビリティです。新しく作られ、新しく住む人達が集まってくる町の中で、この会場がないと困るという位置づけになることを前提に、全体のコンセプト策定を進めていきました。通常の結婚式場のように、月曜日から金曜日まで門が閉ざされていては、気味の悪さを感じさせてしまうことから、常に開かれている場所であること。そこでレストランを併設し、子供達の卒業パーティや近所の主婦が集まっての食事会など、様々なシーンで使われることを想像しました。特別な日に使えるレストランの展開によって、存在することが嬉しいと思われるのです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月11日号)