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  • 19.08.25

トップ商空間デザイナー杉山敦彦が語る【売れる施設づくり】<特別対談>施設コンセプトに紐づいた神殿(THE WHOLEDESIGN代表取締役 杉山敦彦氏)

  オープン・リニューアルの際、空間デザインに対しどのような考え方が必要か。これまでに幾多の人気施設のデザインを手掛けてきた、ザ ホールデザイン杉山敦彦氏による連載【売れる施設づくり】。今回は特別対談として、ホテル椿山荘東京の婚礼支配人・万田哲弘氏を招き、杉山氏が手掛けた独立型神殿杜乃宮の完成までの経緯を紹介する。
 ――2017年12月に完成した、ホテル椿山荘東京の独立型神殿杜乃宮ですが、都内でも非常に珍しい独立型が人気を博しています。そもそも神殿オープンとデザイナー決定に至るまでの経緯とは。
 万田「2017年の初旬に、販売戦略を構築する上で全国の人気施設を見学に回りました。香川県高松市にある施設を見学した際、コンセプトとデザインの調和によって販売に大きな影響を与えていることが、非常に参考になりました。その次の日、当社のグループ施設でもある太閤園へ。杉山さんデザインの神殿があるのですが、一目見て圧倒されました。ホテル椿山荘東京としても、パワーのある施設のデザインを何か依頼できないものかと考えたのがきっかけです。初めはチャペルを作ろうとの話もあったのですが、データを紐解いていくと、顧客の33~36%が神前式を希望している。一方、受けていたのは23パーセントしかありませんでした。この10パーセントのギャップを埋めるために、チャペルではなく神殿へと舵を切ったわけです。」
 ――太閤園の神殿は、そのデザイン面から集客にも大きな影響を与えたようですが、ポイントは。
 杉山「もともとこの神殿は、天高の低いスペースを利用してのデザインでした。集客面に重きを置き、情報媒体を見て行ってみたいと思われるためにも、神社の鳥居が連なるようなインパクトを大切にしました。太閤園は広大な庭がシンボルであり、ガラス越しのグリーンを生かす上で、補色となる赤いデザインを生かしたわけです。さらに成約のための仕掛けも。自然光が入る明るい神殿が特徴なのですが、式場の手前のスペースはあえてライトを足元のみにして暗くしています。プランナーが接客の際、来館者に説明をしながら目を暗さに馴れさせる。そこで扉を開けた瞬間、一際明るく見えるわけです。」
 万田「太閤園の神殿を実際に見て、圧倒的なインパクトを感じました。これまで旧椿山荘側は、決まったデザイナーに依頼するわけではなく、時代やトレンドに合わせてデザインをしていました。高松の会場で、統一したコンセプトのもと、統一されたデザインの影響力を感じていたので、杉山さんのデザインからパワーをもらえることが必要ではと。」
 ――施主側、デザイナー側双方からのリクエストなどは。
 万田「ホテル椿山荘東京は、独立型のチャペルを2カ所有していて、20年以上前にオープンしたルミエールは継続して600件以上を受注しています。神殿を作るのであれば同じような独立型で、さらに同程度の受注をしたいと考えていました。また、当ホテルのコンセプトでもある【東京には、人を祝福する森がある】に紐づき、最大の魅力である庭園と調和した神殿をオーダーしました。」
 万田「もう一つ、100名が入れる式場という希望も出しました。館内神殿の収容人数は50、60名規模です。今の新郎新婦は神前式であっても、なるべく多くの列席者に参列してもらいたい。友人・知人とのコミュニケーションを大事にする人がいることから、それができるには100名規模が必要だと。これはプランナーの希望でもありました。」
 杉山「ホテル椿山荘東京の森は、太閤園以上に随一です。それが強みであることから、そもそも庭園内に建物を建てるべきなのかも確認しました。最終的に決定した場所は、もともとウッドデッキになっていた緑がないスペース。そこなら森に与える影響もない。大切な緑が減るのは、マイナスにしかなりませんから。また宴会棟に近く、オペレーション上もやりやすい。さらに、神殿の屋上に緑を植栽することで、建物を建てても、むしろ緑が増えたという印象を重視しました。」
 万田「神殿の屋上の緑は、時間が経つにつれ成長しています。神殿のある場所は、バンケット棟を入ってすぐに正面の窓越しに見えるため、最初は景観が壊れないかと不安もありました。杉山さんからは、1 年後、2年後に緑が成長すると、より森と調和して最高な状態になると言われていましたが、まさに今がそうした状態ですね。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月11日号)