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  • 19.07.08

【緊急提言!】ブライダル業界における人材対策~マネジメント力不足に対する対策~(クラリスウエディング ブランドエグゼクティブ 伊藤淳氏)

 今回取り上げる課題は「マネジメント」です。相談の中で多いのは「組織づくり」と「教育」に関するものです。組織づくりで重要なことは「組織ビジョン」とそれを浸透させて目的をもって行動できるようにするための「教育」なのかもしれません。しかし、私が感じていることは「組織ビジョン」は存在するものの言葉だけが独り歩きをし、浸透がなされていないことが多いこと、日々の業務や行動に「組織ビジョン」が紐づけされていないことが多いと感じています。
 残念ながらブライダル業界ではそもそも「組織ビジョン」のようなものすら存在していないケースも多く見受けられるのが現状です。「自分は何のために 誰のために頑張っているのか」わからなくなっているプランナーが本当に多いように感じています。率直に申し上げるとこの業界は「マネジメント」を放棄している管理職が多いことに驚いています。「事なかれ主義」的判断で根本的な解決がなされないまま、そのつけは現場のプランナーにいっているように感じます。
 経営や上司の指示を伝書鳩のようにそのまま現場に伝え、「成約率を上げろ」「単価を上げろ」「残業するな」そんなニュアンスの言葉だけが独り歩きしているように感じます。このような命令で「結果」が出るのであればむしろ「マネジメント」は不要なのかもしれません。「マネジメント」の役割はその指示をいかに現場が快く動けるようにするかを考え導くことなのです。
 私も永くウエディングプランナーの教育に携わらせていただいていますが、そもそも「セールス」がしたくてプランナーになった人とはほとんどお会いしたことはありませんし、もともと自ら好んで残業するようなプランナーも皆無だと思います。多くのマネジメント層は「顧客のため」という大義名分とそれに応えようと頑張るプランナーの心に甘えているだけなのかもしれません。
 「マネジメント」とは組織を創ることであり、組織を創るということはそこに属している「ひと」を創ることでもあると考えます。私は新規接客をするプランナーにことあるごとに「成約率」とは「顧客満足率」であるとお伝えし、新規接客とは興味をもって足を運んでくれた顧客と会場の縁をつなぐ大切な役割であると伝えています。まずマネジメントの役割は「組織」としての共通言語を創り、浸透させることが大切です。組織は全員が「エースで4 番」ではないのです。様々なバイタリティの結集こそが組織なのです。その力を安定的に最大化するために個々のパフォーマンスやパーソナリティに応じた教育が必要ですし、全員が活躍できる環境づくりがマネジメントの役割なのです。
 エースも勝てない時があります。そのエースの好調時の状態を把握していれば、不調時のアドバイスやコミュニケーションで復調することもよくあります。たまたま存在するエースに頼り切ったマネジメントは本当にリスクです。新規接客でも打合せでもエースに頼り切ったマネジメントで「エースの離職」という事象により崩壊する現場を多く目撃してきました。自社にエースが存在することは恵まれていることと捉え、新規接客であれば安定的に適正成約率を挙げられる仕組みと人材の育成、打合せであれば安定的な適正件数を担当できる仕組みと人材の育成が必要でしょう。
 まだまだ「ひと」でなくてはいけないブライダルの業務も「ひと」に頼らない仕組みや組織を創ることがいまもっともマネジメントに必要な「力」なのかもしれません。しかしながら「マネジメント」に携わる方も現場の人材不足の補填に翻弄している現状も見受けられます。今起こっている人材不足の対処に翻弄していても根本解決には至りません。先を見据えてどうしたら人材不足を軽減する仕組みや組織をつくることができるかを考えることもこれからのマネジメントにはとても必要なことかもしれません。次号では「定着率向上に向けた業務改善対策」について考えてみたいと思います。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月21日号)