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  • 18.12.26

⦅迫りくる超人材難vol③⦆2バンケでも4名で出来る【Asanohaコンサルティング事業部 フードディレクター 萩原勲氏】

 ブライダル市場にも「迫りくる超人材難」。特集の3回目は、既に人材採用面で厳しい状況の厨房をピックアップ。レストラン業界との人材争奪戦が過熱化し、給与負担も高まっている。特に2番手、3番手の中堅クラスの不足に頭を悩ませている企業も多い。大手ブライダル企業の厨房マネジメントも手掛けたAsanoha(栃木県栃木市)の萩原勲氏は、根本的なオペレーション改革の必要を説く。
  関東近郊にあるワンバンケットのゲストハウス会場。一日2組、平均列席者数50名に対し、厨房スタッフは洗い場のパートを含めて5 名。ところが、施行当日を迎えると、厨房内はバタバタの状況だ。
 結婚式で料理を実際に提供する時間は1 時間半。最低でも6品の料理を提供していくわけだが、料理と料理のタイムラグは5 分程度。短時間で最後まで仕上げなければならない。
 「集団調理のオペレーションを知っているスタッフであれば、50名程度の提供ノウハウを持っている。最大の問題は、ゲストハウス会場にはレストラン出身のシェフが多いという点。多人数提供のオペレーションが確立されていないため、提供がどんどん遅れてしまったり、クオリティの低下を招いてしまいます。」(萩原氏)
 萩原氏はブライダル会場の厨房コンサルティングを請け負っているが、その際に人材募集のサポートもしている。シェフクラスの40歳前後については、ある程度の給料を支払うことで応募も集まる。ただ、多くの場合がレストランを渡り歩いてきたスタッフだ。多くのレストランでは40歳代のシェフクラスでも手取りは30万円を切る。それに対してブライダル会場の方が給与も高く、好待遇であるため、人が集まってくる。
 難しいのが、シェフを支える20歳代後半から30歳代の2 番手、3 番手。このクラスはまだレストランの方が給与水準も高いケースもあり、さらに料理をもっと勉強したいという意識からレストランを選ぶ傾向が強い。そのため、40歳代以上のレストランしか経験していないシェフ、その下には20歳代前半の経験値の低い若手という空洞化の構造になっており、多人数への対応力が著しく低くなっている。
 「集団調理のブライダルとレストランでは、根本的に求められるスキルが異なります。多人数に対し、いかに早く提供するために、平日、当日のオペレーションをきちんと計画できるか。レストラン出身シェフのいる会場でよく見受けられるのが、出来立てを出そうと皿を台に並べて盛り付けていく光景。レストランでは当たり前ですが、多人数への提供ではこれでは無駄が多いわけです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月1日号)