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- 18.03.01
§特別対談 後編§ブランディングが組織力の源に
宿泊主体型ホテルを運営するソラーレ ホテルズ アンドリゾーツの井上理社長と、デザイン会社ホールデザイン杉山敦彦社長の対談を、前回に引き続き紹介。今回は、ブランディングによる人材採用力の向上、デザイン力アップの必要性、ブライダルの考え方など幅広く語った。【後編】
――インソムニア 赤坂の1 階カフェは、ブランド力のある「Unir」(ウニール)です。
井上「新コンセプトブランドの1 号店のパートナーとして非常に良かったと思います。今後も「Unir」と一緒に組める自社のブランドがあれば積極的にやっていきたいですね。料飲施設はホテルとシームレスな状態にありたいので、やはり私たち自身がオペレーションを対応したいと考えています。その点、「Unir」は品質保証される限り当社直営での展開を認めてもらっています。」
杉山「料飲のみを担当するというスタッフがいても、そもそも外と中との繋ぎになりません。」
井上「カフェスタッフに宿泊についての質問をした時に『分からない』と答えていては意味がありません。スタッフはラウンジとレセプションを兼務し、一つのオペレーションの中でやっています。」
杉山「実は4 件のホテルに行った時に強く感じたのが、スタッフの質の高さです。他のビジネスホテルと比べて、働く人が非常に親切で、優しい。一人一人の対応が素晴らしいと思いました。人手不足の時代にも関わらず、人材には困っていないのではと感じました。」
井上「それはありがたい言葉です(笑)。コンセプトとデザインが明快な新ブランドは、人を集めやすいメリットもあります。インソムニア 赤坂のレセプションにはヨーロッパ出身のスタッフがいますが、旧来のブランドではこういうスタッフはなかなか集められませんでした。」
杉山「全員が目指すべき、絶対にブレない動かないゴールを仮に『北極星』と呼びましょう。その北極星がしっかりと定まっていることが、採用にも好影響を及ぼすのでしょう。デザインの仕事の時にブランディング会社と一緒にプロジェクトを推進することも多くなっています。例えば、モダンなデザインを依頼された場合、そもそも100人いれば100通りの想像をします。そこでブランディング会社と共にモダンというキーワードが、どういうものなのかを絞っていく。これにより、オーナー、デザイナー、工事会社、さらにスタッフを含めて、関わる人全員が絶対にぶれない北極星が定まり、全員がそこに向かっていけます。通常では、社内にブランディングチームがいないと北極星を定めること自体が難しいわけです。全員が同じところに向いているということは、全員がブランドを語れるということ。当然、応募してきた人にも、当社はこうだと語ることができ、その人材もそれを理解した上で入社してくる。さらに向かっていく方向が明確であれば成長も早く、結果として組織全体が強くなっていきます。ブランディングは本当に大切です。」
井上「チサンホテルには歴史や知名度がありますが、全ての顧客を受け入れ、ターゲットを広く構えるブランドのため、逆に没個性になりがちなところもあり、そこはジレンマを感じるところでもあります。新ブランドはコンセプトがはっきりしている分、顧客を選択することにもなり、既存のホテルとは考え方が違います。」
杉山「旧来型ホテルの没個性で全方向を向いているということを、いかにブランド化していけるか。何かのデザインによって、違いをつくる。例えば没個性にも関わらず、この部分はデザインにこだわってオシャレといった面を出せれば、逆に際立ちます。本来、ホテルはホスピタリティを重視しますが、それこそ人と会わなくていい、全自動で対応できるといった方向にいち早く舵を切るなど。没個性だからこそのブランディングは興味深いです。」
――ホテルもウエディング施設も、ブランディングされていないケースが見受けられます。
杉山「ウエディングは装置産業で建て替え、改装を繰り返してきました。今こういうものが流行っているからこういうものを作って欲しいという流れが一般的でした。最近では、マーケティングが重視されていますが、どの会社もそこを頑張って施設をデザインする。ところが、マーケティングの行きつく先としてどこも同じものになっていくのは当然で、デザイン面もそれぞれ大きな違いがない状態で戦うわけです。まさにレッドオーシャン。」
井上「付帯設備を最小限に抑える宿泊主体型ホテルは、そもそも差別化のしようがありません。せいぜい、客室が狭いか広いか、大浴場があるかないか程度でしょう。1 階の計画というのは、構造上、後から変えることはかなり難しい。どこのホテルも容積いっぱいで計画するので、後から付帯施設を増やすことはとてもできません。だからこそ、この部分にこだわっています。もし、宿泊マーケットが落ち込んでいく局面になった時、差別化の武器がないホテルは価格以外で勝負できるポイントがなくなります。いかに安くするかという競争を余儀なくされます。さらに価格を下げるためにコストも下げる、結果、品質も下がっていくという悪循環に陥ります。これは本当に疲弊します。こういう流れに巻き込まれないよう、計画段階から1 階部分に料飲施設を設け、武器として磨いています。」
杉山「人が集う、賑わうホテルと言えば、20歳代の頃、世界を旅した際に利用していたユースホステルを思い出します。アムステルダムのホステルは、大部屋の2段ベッドでとにかく安かったのですが、1 階にバーやビリヤードを楽しめるスペースがあって、世界中から集まった同じ世代の宿泊客同士でワイワイ楽しんだものです。それぞれ違う文化なのに、みんなで盛り上がれる。せっかく、いい例があるのにもったいないと思います。」
井上「私もユースホステルやゲストハウスをいくつも見に行きましたが、意図的にコミュニケーションできる場所を作っています。何故、ホテルではやらないのだろうかと。」
杉山「発想を変えれば、まだまだいろいろなことが出来るはずです。」
井上「ホテル業界にどっぷりつかると、こうあるべきという固定概念が生まれます。現在計画中のホテル内での立ち食いソバと立ち飲み施設の計画をオーナーに説明したところ、最初は驚いていましたが、立地や主要ターゲットの行動予想を説明して、理解を得ることができました。」
杉山「ブライダル企業を始め他業種からのホテル参入が相次いでいます。こうした企業は、ホテルの概念に縛られずゼロベースで考えています。その点、井上社長ももともと税務関係の仕事に就いていて、ホテルに関しては全くの素人だったことが強みですね。(笑)」
井上「常識に捉われないホテルがどんどん出来れば、業界も変わってくるのではないかと。日本の宿泊主体型ホテルの客室は、いまだにシングルが主流を占めています。ビジネスパーソンの出張需要を狙っているわけですが、今後は出張で宿泊すること自体が少なくなるかもしれず、シングルルームの需要がどれだけ見込めるのか、疑問です。」
杉山「デザイン面でも、今後さらにレベルアップを迫られるかと。これから数年で、外資の新ブランドのホテルが次々に日本に進出します。当然、ホテルのデザインのクオリティが一気に上がってくる。今までそうしたホテルに触れたことがない顧客に、新たな価値観が生まれてくれば、否が応でも比べられます。NY、パリなどのオシャレなデザインが外資系ホテルと共に入ってくる時代に、レベルアップしなければ厳しくなるのは予想できます。」
井上「杉山社長がデザインしたウエディング施設を見ると、かなりお金がかかっているように感じます。依頼主は、最初から高い予算を設定しているのですか。」
杉山「お金がかかっているように見えるものが目立つだけで、実際に多くのプロジェクトは企業サイドの考える適正な投資の中でご依頼いただいています。工事費も上昇している時代ですから、むしろ予算が厳しいプロジェクトの方が多く、それでもお金を掛けたように表現していくことが私たちの仕事です(笑)。ウエディング施設では、集客のためのデザイン、成約のためのデザイン、当日のパーティでいいねと言ってくれるデザイン、と3つのレイヤーに分けて考えますが、特にチャペルは集客のためのデザインが求められます。二次元の写真でどこまで映えるか。もともと運営会社出身であることから、デザインの打ち合わせの際に、どこに力を入れていくべきか、予算に限りがある場合にはどの部分にどれだけかけるかなど。ミーティングを重ねながら、課題解決に最適なデザインを提案します。」
井上「当社のグループでも浦和ロイヤルパインズホテルは婚礼を扱っていますが、宴会、宿泊、飲食のそれぞれに対応し、資源も分散しがちです。バンケットでは企業宴会も受注していて、専門施設のハウスウエディングに勝つのは一筋縄ではいかないと。」
杉山「ホテルの場合、宿泊のチェックアウト時、エレベーターに花嫁が乗ってきてお互いに気まずいということもありますよね(笑)。ブライダル企業のホテルでは、その導線やロビー、入り口も分けるなど、根本的な考えが違います。」
井上「行き着くところ、ホテルウエディングは、ホテルブランドで売っていかなければなりません。」
杉山「その意味では、ウエディング施設だけでなく、ホテル自体が素敵でないと、挙げたいと思われません。ロビー、レストラン、バーなども含めて、総合的にデザインしていくことが大切です。」
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