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- 18.02.19
§特別対談 前編§ ビジネスホテル×ブライダル「人が集まる1階へのこだわり」
宿泊主体型ホテルの場合、「寝るだけの場所」を追求するあまり、本来の顔であるべき1階部分やフロントに、薄暗く寂しい雰囲気が漂っていることも多い。ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)の新ブランドホテルは、差別化のために1階へのこだわりを追求している。ブランディングからデザインを導きだし、数多くの人気ブライダル施設を作り上げてきたザ ホールデザイン(東京都目黒区)とは、その部分で考え方が共通する。施設の差別化のためにどのようにデザインを駆使していくべきなのか、それを実現させるためには。ソラーレ井上理社長とホールデザイン杉山敦彦社長の対談を2回に渡り紹介する。【前編】
――宿泊主体型のホテルが次々に建設され、競争も激化しています。その中で、どのように差別化を図っていくのか。デザインがどう関わっていくのでしょうか。
井上「当社ではまず、どういうホテルをやりたいのか、コンセプトを考えることから始め、それを表すためにデザインしていきます。デザインについては、ハードはもちろん、オペレーションも含めたソフトと同時進行で企画することで、結果として差別化されたホテルになる、と考えています。見た目をきれいに見せるだけなら著名なデザイナーに相談すればいいかもしれませんが、ソフトも一緒に作り上げないと、デザインも生きてきません。例えば、2016年開業の「インソムニア 赤坂」では、1 階エントランスで24時間オープンのカフェとホテルレセプションを一体化して運営しています。ユニフォームも白いシャツにベスト、デニムというスタイルです。ここでスタッフの制服が一般的なホテルユニフォームのようだと、違和感が生じるわけです。施設だけでなく、細部にわたるまで全体をデザインする、という考え方が大切ではないでしょうか。」
杉山「見た目はもちろん重要ですが、まずはコンセプトを確立し、ブランディングしていく。その一環としてデザインがあるわけです。私も施設の空間デザインの際には、ブランディングチームと連携することも多いです。新しいデザインを作ろうという場合、ソフトが根本的に新しいからこそ形作ることが出来ます。この部分を真剣に対応することで、結果新しいデザインになるわけです。ホテルの場合、新しいオペレーションや、そこでの楽しみ方といったコンセプトが最初にないと、本当の意味での新しい空間デザインは生まれないのかもしれません。」
――杉山社長は、ホテルの企画デザインに携わった経験もあります。
杉山「福岡のホテルですが、窓際にテーブルのある部屋がありました。ルームサービスの時、プライベートスペースであるベッドを通過して運び入れるのはどうなのかという話になりました。そこで、テラスから持っていくのはどうだろうか。どうせならばテラスで食べるというスタイルもありなのではと。そのためには、バルコニーを繋げる必要があったわけですが、今度は部屋のプライバシーを守れるかという議論に。ただ価格帯を高く設定すれば、横の部屋に行き来するような顧客層もいない。最終的には、テラスに植栽を施し、その向こう側に通路を作りました。結果、部屋からの眺めも広々とし、気持ちのいい空間が出来上がりました。こうしたアプローチによって新しい形、デザインが生まれます。壁紙の色やインテリアを少し変えるだけでも一定の効果はありますが、差別化をしていくには、そこまでこだわらなければなりません。」
井上「当社の運営ホテルをはじめとする多くの宿泊特化型ホテルには、建物や開発に出資するオーナーの存在があります。私たちオペレーターは、オーナーの予算の枠組みの中で何を実現できるかが問われています。当社が特に重視するのが1 階の共有部分です。ホテルは一般的に客室に予算を割きがちですが、予算の制約がある中でもあえて1 階部分にこだわります。」
杉山「確かにホテルの1 階は、来店した時に最初の印象を決定づける部分ですね。そこが素敵だと、その後の時間の捉え方も違ってきます。最初がガッカリだと、他の部分のマイナスポイントを見てやっぱりとなりますが、逆に1階部分が良ければ、他が多少欠けていても、そういう割り切りをしているホテルなのだとポジティブに感じます。」
井上「客室のコストは室数に比例しますから、客室数が多ければ多いほど、コストも増えていきます。投資した効果として宿泊料金が取れれば良いですが、現状、日本の宿泊主体型ホテルでADR(平均客室単価)2 万円を超えるのは簡単ではありません。オーナーが思い切れない気持ちも分かります。」
―― 1 階のコンセプト、デザインは、各ホテルでそれぞれ異なりますが。
井上「チサンブランドは各店共通のスタイルですが、新規出店を進めている都市型の新ブランドはそれぞれ独自のコンセプトがあり、1 階の組み合わせも変えています。カフェやレストラン、さらに現在計画中のあるホテルでは1階に立ち食いソバと立ち飲みのお店を設ける予定です。」
――コンセプトメイクは井上社長自身が行っているそうですが、その際に大切にしていることは。
井上「ホテルは人が集まる場所であるべき、との考えがベースにあります。宿泊客が集まり、さらに外からも人が入ってくる。それがミックスされる場所をイメージしています。そのためにどうしたらいいのか、エリア特性やターゲット層を加味しながら1 階のコンセプトを作り上げています。」
杉山「実はこの座談会にあたり、ソラーレの展開している新ブランドのホテルに宿泊しました。静岡吉田のハタゴイン、金沢の雨庵、大阪のホテル・アンドルームス、そしてインソムニア 赤坂。特に赤坂に関しては、1階部分の予算のかけ方が他と比べても違いますね。」
井上「ありがとうございます(笑)。全てに100%満足しているわけではありませんが、リブランドホテルである「インソムニア 赤坂」では1階の改装に全予算の半分を使いました。宿泊主体型ホテルはただ寝るだけの場所、という固定観念とは異なるものを提供する。大規模なフルサービスホテルでなくても賑わいを感じられる場所を作ることで、ホテルの本来のあり方を示していければと思いました。」
杉山「私は大阪から東京に出てきて以降、一貫して恵比寿に住んでいるのですが、ガーデンプレイスの価値を感じられるのは、やはりウェスティンホテルがあるからだと。ホテルによって町の価値が高まるのは理想です。」
井上「ホテルは『待ち』のビジネスだからこそ、出店地のエリアが賑わうことがとても重要で、私たちもその賑わいにいかに貢献できるかが問われています。1 階部分が地域貢献の拠点として機能することが理想です。」
杉山「持続可能性ですね。ホテルはもちろん、ウエディング施設、レストランでも持続可能性を高めていくには近隣の人、顧客から、この店がそこにないと困る、なかったら嫌だと思われるような関係性を作っていけるかどうかです。そのために地域貢献が求められます。」
井上「宿泊主体型ホテルの多くは、料飲などの付帯施設をテナントで対応していますが、私たちは1店舗でも直営できちんとやっていこうと。その店がホテルの外と中を結ぶ場として機能すれば宿泊の付加価値も上がり、ADRも上がる。1階を軸にいい相関関係を作ることが理想です。」
杉山「客単価の高いホテルのカフェであれば、今度はカフェのブランド価値も高まります。好循環ができますね。」
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