LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

障がい者への着付け体験【RONILO】

障がい者への着付け体験【RONILO】

 NPO法人TOKYOウエディングフォーラムは1月30日、社会貢献活動の一環として港区内にある障がい者支援ホームにて衣裳着付け体験を提供した。この取り組みは2024年に続く第2弾で、前回は東京タワーイベント内で実施。今回は施設に出張する形で行った。着付けをしたのは男性2名。衣裳はやまと(東京都渋谷区)が協力し、ヘアメイクはRONILO(東京都渋谷区)が手掛けた。同社の箭内麻衣社長に、同プロジェクトの意義、今後の展開を聞いた。

体調には最大限の配慮

――昨年に引き続き、2 回目の着付けの提供となりました。

箭内「前回は東京タワーイベントの一環として、男性2 名、女性2 名の4 名に対して実施しました。着付け終了後には東京タワーをバックにして家族と一緒に写真撮影をするなど、非常に満足度も高いものでした。今回は港区の協力を得て、施設に訪問して対応しました。衣裳については、前回同様に身体障がい者でも着用できる着物を提供しているやまとの協力を得て、着付け師2 名、当社のヘアメイク2 名体制で実施。今回は男性2 名への着付け・ヘアメイクでしたが、前回よりも重度の障がいを持っていました。そのため体調および体力的負担に最大限配慮し、事前に共有された医療情報・生活状況をもとにやまと、ご家族、担当支援員の方々と連携し当日の進行を組みました。」

――当日の進行は。

箭内「まず着付けは、ベッド上に準備した特別仕様の着物(男性用袴)の上へ支援員の介助( 2 名体制)のもと安全に移動し実施。完了後に車椅子への移乗を行いました。袴は特別な仕立て直しを行ったもので、締め付け、サイズなどを考慮した作りになっていました。続けてヘアメイクですが、男性のためメイクは不要とし、重度の乾燥があるためホットタオルを用意し肌への保湿を重視したスキンケア・ヘアセット。肌も髪も塗布するものについては必要最小限とし、お母さんへの声かけ、確認をその都度行いながら対応していきました。その後、車椅子での姿勢を保ったまま撮影。本人だけ、 ご家族と一緒の2 パターンを収めました。所要時間は約1 時間半で、2 人に負担のない短時間で仕上げることができました。」――体調に考慮しながらの対応は大変な点も多かったのではないでしょうか。

箭内「セット剤や化粧品は使わないで欲しいとの話でした。それこそオイルをつけて、少しマッサージをして、あとはホットタオルで顔に赤みを出し血行促進した上で、髪の毛をちょっと触るという流れでした。使うものも、あくまで自然由来。こうした対応については、私自身が学生時代、近くにあった養護施設でボランティアをしていましたし、また結婚式でヘアメイクさせてもらった新婦のケア児だったお子さんに何回かヘアカットをさせてもらった経験もありましたので、それが活きる形になりました。前回はそれでも東京タワーにまで来られる人たちだったわけですが、今回はそれも難しい2 人。だからこそ、私たちが出張しての対応となりました。ボランティアですから何か事故があってはいけませんし、とにかく事前準備と、親御さんへの都度の確認をしながら進めました。」

――着付け体験に対する利用者の反応は。

箭内「本人はもちろんのこと、ご家族、また日頃より支援にあたっている支援員の皆さんの表情にも多くの笑顔が見られたことは何よりも印象深く残りました。日常的に利用者へ注いできた支援者たちの深い愛情が、着付けや撮影の一つひとつの場面に自然と表れていたのはその場にいた全員が感じていたと思います。また実際に施術をするスタッフにとっても大切な経験でした。前回の東京タワーイベントでサポートしてくれた専門学校生もそうでしたが、当社のスタッフも着付け体験と撮影という非日常を提供する側の一員になれたことを感謝しています。」

――今後の展開についてはいかがですか。

箭内「ご家族にとっても、着付け体験という非日常のいい時間を過ごしてもらうことで、一つの思い出として強く残ると思います。そうした気持ちの面での充実をもっと提供したいという想いです。また前回・今回は港区の協力によって実現しましたが、例えば他地域で同じようなことをできるのであればどんどん広めていきたいと考えています。この企画を東京ウエディングフォーラム主体で実施しているのも、そこにはウエディング事業者が集まっていて、衣裳、ヘアメイク、撮影など連携出来るわけです。まずは形を作って、今後は全国的に対応していけばウエディング事業者ももっと重宝されると思っています。行政との連携、さらに対応できる各地区の事業者への呼びかけは進めていきたいですね。何より安全性と利用者の尊厳を最優先に置き、ウエディング業界における社会的役割の一端として「装う喜び」を社会にひらいていく活動として今後も発展させていけるようにしたいです。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号)