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『簡易企業診断』を式場に提案【バトンズ】

『簡易企業診断』を式場に提案【バトンズ】

婚姻組数の減少など婚礼マーケットも大きく変化している中で、M&Aは経営のスピードをアップできる戦略の1つと言える。M&A・事業承継を支援するバトンズ(東京都中央区)は、昨年からゼクシィと共同で『簡易企業診断』を展開。決算書などをベースに会社の立ち位置を知る“健康診断”として、式場に向けて無料で案内している。ゼクシィでのキャリアも有する代表取締役CEO・神瀬悠一氏に、業界の課題や今後の予測など話を聞いた。

活性化に繋がるM&A

――これまでのキャリアは。

神瀬「ITエンジニアからスタートし、その後コンサル企業を経て、リクルートに入社。中でもゼクシィは約6 年間従事し、事業企画やマーケティング業務などを通じてブライダル業界に携わっていました。その後バトンズの立ち上げ期からジョインし、現在に至っています。」

神瀬「当社はM&A・事業承継支援プラットフォーム『BATONZ』を運営しており、主に中小企業に向けてサービスを展開しています。特に北米などは2010年頃から、『会社を売りたい・買いたい』というニーズに対し、当社のようなM&Aプラットフォームサービスが介在しており、今後日本もそういった流れは更に増えていくと感じます。実際に当社も、創業当時の2018年のサポート実約40組に対し、2025年3 月期は805組と約20倍まで伸びてきています。日本経済における成長という観点からも、M&Aが活発になっていくことはいいことだと思っています。」

――神瀬氏自身の感じる、ブライダル業界の課題は。

神瀬「人口、婚姻組数の減少に加えて、価値観の多様化、異なるパーティースタイルを希望するカップルも増えている。社会的な背景なども含めた変化に、業界としてどうキャッチアップしていくべきかは、ゼクシィ在籍当時から課題と感じていました。また、上場各社をはじめとした大手企業におけるマーケットシェアは全体の数パーセント程度で、各地の中小企業が地場で活躍していることもブライダル業界の特徴として挙げられます。他業界の場合、マーケットシェア3 割を占めるような会社が大きな動きを取ることで産業変革に繋がるケースも見られますが、ブライダル業界の産業構造的に、変化スピードが出にくいというのも事実。一方、人生の節目としてウエディングイベントをしっかりやることで、その後の結婚生活にプラスの影響が出るといったデータもありますし、幸せな家庭が増えていくというのは、“国力の根幹”とも感じています。そうした意味でも、ブライダル事業者の持つ可能性、存在意義、果たす役割は大きいと感じています。」

――マーケット自体も厳しくなる中、事業売却などを検討するケースもあるかと。

神瀬「M&Aと聞くと、会社丸ごと身売りのイメージを持つ人もいるかと思いますが、実際は『選択と集中』と言えるでしょう。例えば一部事業、または店舗を切り離し、リソースを集中させるのも経営戦略の1 つ。業界内でタッグを組むことで、間接コストを一定抑えられ筋肉質な体制を構築できるといったこともあります。また、一部サービスを売却したうえで、観光系の会社や事業を買って、ドメインを広げることも選択肢に入ってくるかもしれない。そうした意味でも、M&Aは経営のスピードを上げられる戦略として、有効と感じています。」

ゼクシィとの共同企画

――昨年末から、リクルート・ゼクシィとの共同プロジェクト『簡易企業診断』をスタートしています。企画の背景、主なサービス内容は。

神瀬「もともと当社は、業界再編を通じて産業構造を強固にしていくという想いでM&Aを支援しており、メインとなっているのが中小企業のサポートでした。婚姻組数減少など社会的変化も大きい中で、業界全体を俯瞰で見てきたゼクシィも先述の課題を同様に感じていて、何か一緒にできないかと共同企画に至りました。『簡易企業診断』は、M&Aを考えるにあたり、自社の状況、立ち位置などを把握できるサービス。いわば会社の“健康診断”のイメージで、自社にとってどんな選択肢があるのかを考える機会に繋げられるものとなっています。」

神瀬「利用したい企業は、3期分の決算書を提出。さらにアンケートで、各屋号の集客・施行状況などのKPIも回答してもらう流れです。データ算出においては、中期経営計画などに活かすことを目的とした、リクルートによる『ゼクシィ未来予測調査』の情報との連携を図っています。この調査は各都道府県別に人数帯、価格帯別に見た2040年までの婚礼市場を予測したもの。財務諸表とゼクシィの持つデータをもとに、まずは経営指標のKPIが業界内の他企業と比べてどうなのか、現時点でのポジションをチェックできます。加えて、各店舗のエリアごとに今後カップルの状況がどうなるかも含めた、未来の収益シミュレーションを店舗ごとに算出。そのうえで、仮に売却を検討するとしたら自社の今の評価はどれくらいなのかの目安額を出す流れです。『簡易企業診断』は無料で案内。本格的に話を聞きたいとなれば個別サポートももちろん可能ですが、売却に進むかどうかは一旦置いておいて、まずは気軽に自社の立ち位置を知る機会に繋げてもらえればと思います。」

―― 4 月1 日、ノバレーゼとエスクリの2 社が経営統合し、オンザページとして再スタートを切りました。スケールメリットを活かした成長戦略を掲げており、業界内での合併といった“波”は今後も続いていく可能性もあるかと。ブライダル業界におけるM&Aは、この先も増えていくのでしょうか。

神瀬「個人的な考えとしては、増えていかなければいけないと感じます。生産年齢人口の減少などもあり、地方では採用も年々難しくなっている状況。企業同士で手を取り合い一定の規模感を持って動いていくことは、他業界同様、ブライダルの事業者にとっても重要な経営施策と言えるでしょう。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号)