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ゲスト満足の土台を整える【HEART ARROWS CREATION 代表 唐木 裕介氏】

ゲスト満足の土台を整える【HEART ARROWS CREATION 代表 唐木 裕介氏】

 式場のキャプテンなどを経験し、22歳という若さで独立した唐木裕介氏(現36歳)。自身のサービス経験を生かし、フリーキャプテンとして活躍するほか、現在は式場やレストランにおいて施行当日の運営を担うウエディングオペレーションチーム【HEART ARROWS CREATION(HAC)】を展開している。施行現場を多く見てきた経験をベースに、式場の教育支援、現場改善にも携わっている。人手不足など現場を取り巻く課題が複雑化する中で、改めて重視すべきことは何か。唐木氏に話を聞いた。

≪22歳の若さで独立≫

唐木「ブライダル系専門学校を卒業し、式場に新卒で入社。当時は当然プランナーになるものだと思っていました。入社後の現場研修で、キャプテンやサービススタッフの動きを見て強く惹かれ、『進みたい道はこれだ』と確信。プランナー志望だったものの、プランナーはいつかまた挑戦できる機会もあるだろうと思い、入社から2ヵ月目くらいで上司に直接部署異動の希望を出しました。『熱量のある若い男の子がちょうど欲しかった』と言ってくれ、サービスへの配属となりました。」

唐木「新卒で就職した会社には2 年勤務。いずれは自分で事業を展開してみたいという漠然とした思いもあって、22歳で独立を決めました。若い時の方がチャレンジできる時間も長いですし、いい意味で“失敗”もできるだろうと。今思えば、世の中を分かっていなかったからこそ踏み出せたと感じますし、親には大反対されましたが(笑)、若いからこその勢いもありましたね。独立当時は式場やレストランから婚礼当日の現場運営を任せてもらう請負事業を展開していて、複数会場を回ってみたものの、若いがゆえにやはり“なめられて”しまう。そもそも私たちの仕事は、実際に使ってもらうまで商品のレベル感が分かりづらいものです。だからこそ、信用を作っていく難しさを痛感しました。話を聞いてくれたのは、当初2 、3 社程度だったかと。さらに、私たちの価値は人材であり、チームそのもの。とはいえ、当時は教育のノウハウもゼロから作っていくしかありませんでした。スタッフをどう育てるのか、どのように現場の品質を揃えるのか、そして会場に信頼してもらえる“看板”をどう作るのか。そこに非常に時間がかかりました。独立直後は本当に“地獄”のような日々でしたが(笑)、今の自分を作っている大半は、当時得た経験だと思っています。」

唐木「現在はウエディングオペレーションチーム『HAC』として、約20名のメンバーと一緒に活動。サービスをはじめプランナー経験者、学生などからなるチームです。関東を中心に、フリープランナーの施行現場を支援しているほか、式場の教育支援、現場改善業務なども行っています。」

 

≪丸投げも1つの手段≫

唐木「文化財施設などの婚礼施設以外で結婚式を行うとなった場合、建造物を守るためのルールなども厳しいわけです。ケータリング会社は食事のプロであって、婚礼のプロではない。だからこそ、食事に関するオペレーションなどは、当社チームに“丸投げ”してもらい、クオリティアップを目指していくのも1つの道だと感じます。昨今の多くの婚礼施設では、人手不足、教育担当者の不在に加え、SNSの更新など様々な業務負荷があるのも事実。さらに、カップルの価値観も多様化しているため、現場に求められる対応は増えています。そのうえで最優先すべき現場の課題は、まずはゲストの不安、不満、不快をなくすこと。ただ、それを具体的に何から始めるのかまで落とし込めていないケースも少なくありません。実際に多く見られるのは、『親御様にどんな言葉をかけるべきか』といった、心理的にも深い部分。そこを見直し、顧客満足度を向上させることも重要ですが、まず見直すべきは、基本的な部分とも感じます。」

唐木「テーブルのドリンクは切らさず補充されているか、挨拶はいつ回るべきかをきちんと親族に声掛けできているか、トイレや受付の場所の案内が分かりやすいか、暑さ寒さ、雨への対応などなど。そうした基本が整っているからこそ、ゲストは結婚式そのものにようやく集中できるようになる。結婚式で人の心を動かすためには、まず安心して過ごせる状態、いわば環境整備が必要です。どれだけ良い演出や空間があっても、ドリンクが来ない、スタッフに聞きたくても近くにいないという状態では、感動に向かう前に不満だけ残ってしまう。人の足りない状況下であれば、オペレーションを今一度きちんと考える、ドリンクメニューを見直す、スタッフ配置を変えるなど。そもそも10年前と同じやり方のままでは、今の人員体制やゲストニーズに合わない場面も出てきます。手を抜くということではなく、限られた人数でもきちんと価値を届けられる運営に変えていくこと。派手な取り組みではないものの、結局のところ、ここが重要な“土台”になるわけです。言い換えれば、土を耕さずに花を植えても、良い花は咲かないという感覚に近いと思っています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月1日号)