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《納得を引き出す営業テクニック-Vol.10-》割引前の価格を見せることで“基準”を作る【ビーハイライト 代表取締役 濱田 大輝氏】
本来の価格を掲示し納得感を生む
「ちょっと高い気がして…。」婚礼の現場では、こうした声をよく耳にします。内容も良い。雰囲気も気に入っている。それでもなぜか決めきれない。この背景にあるのが、『アンカリング効果』です。
人は最初に提示された情報を“基準(アンカー)”にし、その後の判断を行うというこの心理。接客の現場も同様で、最初に見た価格を無意識に基準としていると言えます。つまり、最初の見せ方次第でその後の評価は大きく変わるのです。
例えば、2~3会場を見学し、すでに他会場の見積りを見て相場感を持っているカップルが来館したとします。接客者の考えとしては「少しでも安く見せよう」と、いきなり割引後の見積りを提示したくなりがちです。しかしこれは、非常に“もったいない”見せ方。なぜなら、割引後の価格がそのまま基準になり、本来の価値や割引のインパクトが伝わらなくなってしまうからです。
アンカリング効果は、最初の基準で結果が変わります。では、売れる営業は何をしているのか。答えは、『割引前から見せる設計』です。見積り提示の流れを例に考えてみましょう。↓
×「こちらが特別割引込みのお見積りです。」
○「まずは通常の内容と価格をご覧ください。その上で本日のご案内をお伝えします。」
最初に割引前の価格を見せておくことで、「これが本来の価格」という基準が生まれます。その後に割引後の金額を提示すると、高い・安いではなく『納得できるかどうか』で判断されるようになります。さらに重要なのは、『比較の設計』です。①通常見積り(本来価格)→②割引見積り(当日特典など)と言うように、この順番で提示することで、割引の価値がより明確に伝わります。特に効果が高いのは、2軒目以降で比較しているカップルや、「失敗したくない」と慎重に判断したい2人、こうした判断に迷っている層です。
一方で、価格だけで判断する傾向のカップル、直感で即決する新郎新婦の場合は、無理にアンカリングを使う必要はないこともお伝えしておきます。営業戦略とは価格の勝負ではなく、基準設計の勝負です。いくらで出すかではなく、『どの順番で見せるか』。その設計が、「少し考えます」を「ここにします」に変えていきます。
次回は『損失回避バイアス』についてお届けします。どうぞお楽しみに。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月11日号)

