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キーマンに聞く

《TOPICS》AI活用で業界課題解決【ウエディングパーク 生成AI推進室室長/ BTO/ エンジニアマネージャー 岩橋聡吾氏・バリューデベロップメント本部 OA事業兼 生成AI推進室エンジニア 宮武 響氏】

《TOPICS》AI活用で業界課題解決【ウエディングパーク 生成AI推進室室長/ BTO/ エンジニアマネージャー 岩橋聡吾氏・バリューデベロップメント本部 OA事業兼 生成AI推進室エンジニア 宮武 響氏】

 ウエディングパーク(東京都港区)は4月、サイバーエージェントグループのAI専門組織との共同研究論文が、『2026年 人工知能学会全国大会』に採択されたことを発表した。展開するメディアにおいてAIの導入を進め、ユーザー満足度向上に努めている同社。生成AI推進室のキーマン2人に、業界課題や発表論文の内容などを聞いた。

人材不足でも質を担保

――昨年7 月に発足した『生成AI推進室』は、どういった部署になりますか。

岩橋「端的にまとめると、AI活用を通じ組織力を高めることをミッションとしたチームです。ウエディングにおけるAI活用を考えた時に、“導入しづらい”業界と言えるかと。例えば、単価もそこまで高くないカジュアルなレストランであれば、『AIをうまく活用し、これくらいのレベルで十分だろう』という感覚を持てる。一方ウエディングにおいては、一顧客あたりの単価も高くおもてなしを重視する世界ですから、『業務をAI任せにしていいのか』と、不安を抱くこともあるかと思います。とはいえ人材不足も深刻な業界課題で、AIを活用していかなければ、今後サービスを提供できなくなる可能性も否めません。求められるクオリティ水準をキープし続けるためのAI活用における“安心材料”として、当部署が機能できれば。蓄積された知見やナレッジは、業界課題の解決や新たな価値創出にも繋がっていくと考えています。」

――サイバーエージェントグループにおいて、AI研究を担う『AI Lab』および『MIU AI戦略本部』とのAI活用に関する共同研究論文が、『2026年度 人工知能学会全国大会(JSAI2026)』に採択されました。論文タイトルは『画像中の文字列秘匿化のための表構造を考慮した文字列分割』です。主な内容は。

宮武「運営するクチコミサイトでは、ユーザー自身で費用明細画像をアップできる機能を備えています。画像投稿から実際にサイトに掲載されるまで、例えばこの会場の明細で間違いないか、個人情報はきちん非表示になっているかなど、様々なチェック項目をクリアした上で、掲載という流れとなります。この作業は人の手を介して行っていて、当然のことながら時間も労力もかかっているわけです。発表論文は、その課題に対してAIを使い効率化を目指す研究と、社会実装という内容になっています。具体的には、費用明細は各種項目と金額を中心とした『表の構造』となっていて、会場によってはかなり多くの情報が詰まっている。例えば単価12000円と数量50の数字の幅が狭いことで、本来異なる項目(セル)にも関わらず、従来のAIではうまく“仕分け”できず、1200050という1 つのまとまった数字として認識し、誤った結果を出してしまうことが課題でした。これに対し今回の共同研究では、実際に画像を読み込ませるよりも前にワンステップ挟み、まずは表構造であることを認識させました。そのうえで、1 セル分を先に検知し、その該当セルだけを読み込ませることで、より精度の高い識別に繋げられるという内容です。ユーザーによっては印刷された費用明細をスマホで撮影し、その写真画像をサイトにアップしているため、例えば紙の折れ目を表構造の区切れとして認識してしまうこともゼロではありません。確実性を担保する意味で、現在も人の手を介している段階ですが、今後はこの研究で得た知見を活かし、費用明細投稿における運用の切り替えを目指していきます。」

―― 6 月10日には『人工知能学会全国大会』において、ポスター発表もしたそうですね。宮武「たくさんの人と交流でき、多くの質問、今後の運用や改善に向けた意見もあって、学びに繋がりました。引き続き業界課題を技術で解決していく企業として、AIをはじめ様々な領域の知見を深めたいと感じる貴重な機会になりました。」

――サイバーエージェントグループの強みを活かした共同研究は、今後更に様々なシナジーを生み出す可能性もあるかと。

宮武「AI Labは研究開発を進めるプロフェッショナル集団であり、その高い技術と知見を得ながら、今回一緒に研究できたのはとても良かったことだと感じています。現時点では費用明細の審査フローにおいて、投稿後一定時間が経ってから、ユーザーに写真の再アップを依頼することもあります。今後の可能性として、例えばAIの力でその不備を瞬時に見つけ、再投稿をすぐに促すことができれば、一定時間を要するラリーも必要なくなってくるでしょう。当社運営の各種メディアは、ユーザーの皆さんからの投稿があってこそ成り立つもの。専門的な研究は今すぐに売上・利益に直結しないのも事実ですが、今後も研究を続け、業界発展と顧客満足度に貢献していきたいですね。」

岩橋「グループ企業ではあるものの、サイバーエージェントのAI Labとの共創自体、今回初の試みでした。AI Labの持つ最新技術をブライダルに落とし込む橋渡しができるのは、当社しかないはず。実現できるかは別として、例えばAIを活用したアバターが接客窓口の1 つとなり、カップルとの“フランク”な会話を担うといったことも、将来的にあり得るかもしれません。カップルの皆さんが求めているニーズを事業者側でキャッチできている一方で、人手不足という足元の課題から、その願いを叶えられていないというケースは、残念ながら少なくないはず。AI活用をさらに加速させ、そのジレンマを埋めていきたいと強く感じています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月21日号)