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キーマンに聞く

サービス利用料を結婚式価格に転嫁【ポジティブドリームパーソンズ&デリ・アート】
今年の4月、1年間の準備期期間を経てUSEN(東京都品川区)が提供するBGM配信システム【WEDDING MUSICBOX】を導入したポジティブドリームパーソンズ(東京都渋谷区・以下PDP)。プランナーが価値を語ることで、サービス利用料を売上として転嫁できるという判断から導入に至った。同社で営業部門を統括している中村亮太氏と、会場の音響を手掛けているデリ・アート(東京都千代田区)加藤友聡社長が、その効果を語り合った。
CDによる運用の課題
――サービスを新たに導入し4 月からの運用開始になりますが、これまでの経緯とは。中村「以前から、USENがWEDDING MUSIC BOXというBGM配信サービスを展開しているということは知っていました。当社の現場ではもともとCDを使っての音響オペレーションだったため、プランナーには相応の負荷もかかっていました。その点、WEDDING MUSICBOXを導入すれば著作権申請や現場の工数もスムーズになると理解はしていたわけですが、当初は導入に慎重でした。このサービスは新郎新婦からするとインフラ的な機能に思われるだろうと認識していたため、価値として販売料金に転嫁するのは難しいのではないかという理由によります。ただ、実際に新郎新婦やプランナーの意見を聞いていくと、私の想像していた以上にCD運用の手間が両者にとって非常にネガティブであり、さらに近い将来にはCD自体も無くなっていくことは明らか。顕在的にネガティブな課題が出てきている状況を考えたときに、これは価格にも転嫁できるのではないかと考えるようになりました。そこから改めて検討し、新郎新婦への売価に反映して当社のコストではなく利益を取れる商品として扱えると、導入を決定しました。」
加藤「音響会社の立場からすると、これまでのオペレーションは新郎新婦自身にCDを購入してもらい、それをプランナーが預かる。預かったものをケースに入れ、当社に送ってもらっていました。当社側で音源をチェックし、当日持ち込んで再生するという流れです。この手間は非常に大変ですし、さらにPDPとしても著作権についてホワイトに対応したいという強い想いがあり、それを実現するのであればWEDDING MUSICBOXしかないと考えていました。もともとPDPはオリジナル性の高い披露宴を作っています。現場で即時に曲を差し替えることも大変ですし、仮に複製対応した場合でも申請時に許諾対象外楽曲であるケースもあり、その場合は再申請をするなど煩雑でした。その他にもCDを用意する新郎新婦が期限を守らなかったことで、前日や当日に対応しなければならないこともあり、非常に負荷の高い状況も起こります。その結果、長時間労働が発生し、業務環境の課題も多かったわけですが、WEDDING MUSIC BOXによって改善されます。複雑なやり取りも、整理されたのは大きいですね。」
――PDPとしては、新郎新婦との音響の打合せをどのような流れで対応していたのですか。
中村「打合せプロセスの中に音響の項目を設けています。実はデリ・アートには、各店のブランド毎に『入場のときのおすすめの曲』などシーンに応じた推奨リストをあらかじめ作成してもらい、そこから選んでも、自分で考えてもどちらでもいいですと案内していました。新郎新婦には進行表とともに、推奨の楽曲リストも渡し、宿題として楽曲を決め、それからCDを準備してもらうという流れでした。著作権についての話は契約のタイミングでも伝えていて、見積もり上に著作権対応費といった細目を入れています。ただ、進行表を作っていくとこんなに多くの曲を使うのかと新郎新婦が戸惑ってしまうこともありましたし、直前になって曲を変えたいというケースも頻繁に出ていました。」
加藤「サプライズを実施したいとなれば、こっちの曲にしようと間際の変更もあるので、その度に1 回1 回作り直すのはとても大変です。プランナーも結婚式前の準備に忙殺され、当社に伝えるのを忘れてしまうケースも出てきます。これはPDPだからというわけではなく、どこの会社でもよくある話。繁忙期であれば直前の対応に追われ、夜遅くまでの仕事になるのは当たり前ですから。」
必要なプランナーの納得
――突然の変更もあれば、ミスの可能性も出てきます。
中村「それはリスクだとは思っていましたし、さらにコストでもあります。突然の変更の場合、プランナーは新郎新婦からCDを預かり、それを整理してPAに渡すのも手間として確実に存在します。当初導入を悩んでいた時には、その工数に対するコストは以前からあるものなので無くなった後の未来を想像していませんでしたが、導入した今となっては、もし以前に戻すとなれば恐らくプランナーたちから多くの不満の声も上がってくるでしょう(笑)。」
――新郎新婦の負担感も解消されます。
中村「新郎新婦から話を聞くと、想像以上にCDを買って集めるということにストレスを感じていました。著作権の説明時に、CDを買うことに対して不満の声を上げる人はいませんでしたが、実際に聞いていくと本当に面倒くさいと。そうしたネガティブなインサイトがある以上、価格に転嫁したとしても不満になることもなく、商品にして売れるだろうと考えました。同時にウエディングの商品は、販売するプランナーたちが納得しないと、なかなか売れません。実際にWEDDING MUSIC BOXの利用料はプランの中に入れていて、その分プランの値段も上げました。ただ成約時の値引き折衝をした際、プランナーが価値を感じていないとこのサービスの価格を下げてしまう可能性も出てきます。その点でも、CD購入の必要なく新郎新婦の面倒が無くなるというメリットを、プランナーが価値として説明できています。」
加藤「先ほど店舗毎の推奨楽曲リストの話も出ましたが、当社としても定番の楽曲についてはCDを用意していました。会場に置いていて、新郎新婦はその中から選べば別に購入しなくてもいいわけです。ただ、PDPの新郎新婦はこだわりの強い人も多く、結局は購入しなければならないわけです。さらに複製に使える楽曲も限られているのは、音響会社としても厳しい状況でした。用意していたCDを新郎新婦の持ち込んだものと間違えて返却してしまうなど、いつの間にか無くなっているということもありますし、本当に原版の管理は大変でした。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号)

