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キーマンに聞く

:連載76:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第76回『ブライダル法務Q&A vol.16「『改正消費者契約法』が6月1日施行」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

:連載76:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第76回『ブライダル法務Q&A vol.16「『改正消費者契約法』が6月1日施行」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

このコラムでは、本年6 月1 日に施行される『改正消費者契約法』がブライダル業界に与える影響について、Q&A形式で解説します。

Q.『消費者契約法』と言えば、ブライダル業界にとっては極めて影響の大きな法律という印象です。

A.その通りです。「キャンセル料水準の妥当性」を巡る問題(第9 条)、契約前において「必要とされる説明水準」を巡る問題(第4 条第2 項)、また「持ち込み規制」が新郎新婦の利益を一方的に害するか否かを巡る問題(第10条)など、ブライダル事業に係る問題と大いに関係をもつ重要な法律です。

Q.その『消費者契約法』が、本年6 月1 日から改正されるとのことですが。

A.本年6 月1 日より、事業者にとってはさらに厳しい方向に改正されます。改正内容は多岐にわたるのですが、ブライダル業界に特に大きな影響がある2 点を解説します。

改正① 消費者による取消権の拡充契約後でも消費者(新郎新婦)が一方的に取消できるケースが追加されました。その中に「勧誘することを告げずに『退去困難な場所』へ同行して勧誘した場合」というものがあります。

Q.『退去困難な場所』というのは、ホテル・式場の個室などは含まれるのでしょうか。

A.一律に「個室だから該当する」と判断されるものではないと考えられますが、たとえばホテル・式場があくまで厚意で、新郎新婦を「オープンなサロン」から「クローズドな個室」に招き、そこで接客をして契約に至った、という場面において、後から「退去困難な場所へ連れられ勧誘された」と、取り消しを主張されかねないというリスクは生じます。新郎新婦に営業をかける「場所」の配慮が必要になってきそうです。

改正② 解約料水準の根拠についての説明義務の追記消費者や適格消費者団体からの要請等を受けた場合に、事業者に「解約料水準の根拠についての説明をする義務」等が追記されました。

Q.自社の設定する「解約料水準」について問合せを受けたら、「どうしてその水準で設定しているのか?」を説明しなければならなくなるということでしょうか。

A.おおまかなご理解としてはその通りです。ただ、細かく条文を読んでみると、まず、消費者から説明を求められた場合には「解約料の算定根拠の概要」を説明する「努力義務」が課せられているに留まります。つまり、解約料水準の算定に至った背景や理屈を細かく全て説明する必要はなく、「このような考え方で算定しています」という『概要』を説明するよう努力することで足りる、というものです。次に、適格消費者団体から要請を受けた場合には、事業者に「解約料の算定根拠」(こちらは「概要」ではないことに注意)の説明に応じる「努力義務」が課せられる一方で、「営業秘密が含まれる場合や正当な理由がある場合」は要請を拒むことができるとされています。

Q.「解約料水準」を算定する上では、社外には公表していない多数の情報も踏まえていますので、開示するのは強い抵抗があります。

A.当然そうだと思います。したがって、営業上公開に支障のある情報が含まれている場合には、適格消費者団体からの要請があったとしても、該当する箇所については「営業秘密が含まれているため回答いたしかねます」と断っても構いません。

Q.なんだか年々厳しくなっている印象です。

A.世の中には高齢者や若年者の無知に付け込んであくどい商売をしている事業者もおり、そうした被害を防ぐという観点では「消費者契約法」の存在意義は大きいものがあります。一方で、まじめにブライダル事業を展開している事業者にまで、時に、この法律に基づき必要以上の働きかけが及ぶことのある現状には、強い問題意識をもっています。

今回の改正を機に、全国の適格消費者団体から事業者に対して「解約用水準」を巡る問合せが増加することが危惧されます。正しく改正法を理解した上で所要の対応を図っていく姿勢が必要となると考えます。

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)