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連載3〔研修で差がつく!金の卵の育て方〕スタッフの背中を押す階層別研修【ノバレーゼ 教育研修部エキスパート 前田歩香氏】

連載3〔研修で差がつく!金の卵の育て方〕スタッフの背中を押す階層別研修【ノバレーゼ 教育研修部エキスパート 前田歩香氏】

みなさんこんにちは。これまでの連載で、階層別研修の目的は『社内外から必要とされる、人間力の高いスタッフを育成するため』とお伝えしました。広い世の中で必要とされる人材であるためには、まずは社内で力を発揮してほしい。「会社で活躍したい」というスタッフのまっすぐな気持ちを、階層別研修は後押しします。連載3 回目は、スタッフの背中を押す研修の組み立て方についてお話ししていきます。

研修を組み立てる上で、まず初めにこの2 つを明確にします。1 つ目は、『在りたい姿(研修に参加する受講生にどうあってほしいか)』です。会社がスタッフに求めることの指標として、等級定義があります。研修の冒頭に、受講生はこの定義に目を通します。「求められていることと、今の自分はどうか」と自らに矢印を向けることで、受け身ではなく、自ら学びにいく研修のスタートラインに立つことができます。

2 つ目に、『この等級のスタッフはどんな“壁”にぶつかるか』という状況を想定します。等級ごとに立ちはだかる壁の内容も異なりますし、時代背景、受講生の顔ぶれによっても、想定される壁は変わります。リアルな悩みを知るために、上長ヒアリングも実施。近年はVUCAやコロナ禍など世の中のめまぐるしい変化も、想定される壁に影響を与えていると感じています。

この『在りたい姿』と『想定される壁』の架け橋になるのが研修です。等級ごとに整理し一覧表にすると、研修でどんなゴールを設定し、何のカリキュラムを取り入れるべきか見えてきます。実際の研修例として、弊社で最近行った研修(入社3 年目が参加目安)を一部紹介します。在りたい姿は、『仕事の幅を広げて関与できることを増やし、チームの中心的存在として顧客満足の向上に繋げる』。想定される壁は、『一通りの仕事ができるようになったため任せてもらえる仕事量が増加し、目の前の業務に精一杯。それゆえ仕事の本質や自分の成長に目を向けられていないのではないか』と捉えました。これらを整理して見えてきた研修のゴールとして、『自分の働き方の軸を見つめ直し、自走できる力を身につけること』と設定しました。

カリキュラム内容は悩みましたが、『私たちが考えるお客様の心を揺さぶるサービスとは』というディスカッションを実施しました。なぜこのワークにしたかというと、「主体的に仕事をしたい」という気持ちは受講生の中にあり、また顧客に良いサービスを届けてきた実績と自信もある。それを言葉にする時間が必要なのではと考えたからです。私自身も3 年目は、担当組数も多く自分の仕事に必死で、周囲に目を向ける余裕が全くありませんでした。研修は立ち止まり、自分は今何ができていて何が足りないか、立ち位置を知る時間なわけです。

今回は受講生の経験談と紐づけて学べる時間にし、それぞれが持つ素晴らしい経験を内省しました。このワークを終え、入社から今まで積み上げてきた経験を、これからはチームのために発揮し影響を与えていきたいという、気づきが芽生えていました。

研修は、スタッフが直面する状況や壁を打破する1 つの機会。加えて、会社に自分の居場所があることを確認でき、改めて自分の可能性を発揮したいと思える場でもあります。このように研修を丁寧に続けることで、スタッフの活躍するフィールドを、押し広げることに寄与できると信じています。研修を組み立てる上での、1 つのヒントとなれば幸いです。

 (詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月21日号)