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自身のキャリアを冷静に考察【フリーウエディングプランナー 仁藤なお子氏・IWAI OMOTESANDO Chief Producer 芳賀恵理氏】

自身のキャリアを冷静に考察【フリーウエディングプランナー 仁藤なお子氏・IWAI OMOTESANDO Chief Producer 芳賀恵理氏】

 プランナーキャリアにおいて、ステップアップを兼ねた転職に加え、フリーとして業務を請け負う選択肢も一般的になりつつある昨今。今号では、20年近い会社員経験を経てフリーランスになった仁藤なお子氏と、大手ゲストハウスで13年間勤務した後に一度独立、その後CRAZY(東京都渋谷区)にジョインし会場所属の道を選んだ芳賀恵理氏が、会場とフリーのメリット・デメリットなどを語り合った。自身の働き方はもちろん、会場のマネジメント層はスタッフのキャリアと雇用をどう考えるべきか。トークセッションを通じて改めて検証していく。

アワード出場と横の繋がり

――仁藤さんは現在フリーウエディングプランナーとして、式場のコンサル事業なども含めて多方面で活躍中です。これまでのキャリアは。

仁藤「新卒でホテルに入社し、ブライダルの仕事をスタート。約10年在籍し、その後ゲストハウスに転職、8 年ほどキャリアを重ねました。当時の勤務先の式場がコロナ禍による運営会社の変更もあって、体制や考え方、方針も変化。プランニングにおいて貫きたい自身の想いなどを大事にしようと、2022年フリーへの挑戦を決意しました。最終的な判断をした2022年から少し遡ると、会社員生活の中でリクルート主催の『GOOD WEDDING AWARD(以下GWA)』に挑戦していたことも、現在のキャリア選択を後押ししたと思っています。企業の枠を超えてたくさんの人たちと会話をする機会が増えたことで、自社の後輩だけでなく、多くのプランナーの支えになりたいとの想いは強くなりました。ちょうどその頃、プランナーの育成といった教育への興味が湧いてきたタイミングだったことから、最終的に独立を決意しました。フリーとなった2022年には、『GWA』で念願のグランプリも受賞。こうした挑戦と結果は、ありがたいことに今多くの仕事に繋がっています。」

――芳賀さんは現在、CRAZYの運営する『IWAIOMOTESANDO』でChief Producerを務めています。ここに至るまでのキャリアは。

芳賀「全国でゲストハウスを運営する企業に、新卒で入社しキャリアをスタート。プランナーとしてデビューし、その間私も仁藤さん同様『GWA』に出場しました。13年のキャリアで人事、マーケティングのほか、全国の運営会場を回ってブランディングの基盤を作る業務などを担当。在籍期間中様々な経験をさせてもらったことは、本当に感謝しています。私の得意分野を見出して伸ばしてくれたのも、“企業のチカラ”だったと今改めて感じています。」

――芳賀さんも、仁藤さんと同じ2022年に独立をしました。

芳賀「会社への感謝の気持ちは大きかったものの、ハコを持っているがゆえ、会場側から提案できる“幅”の少なさに苦しさを感じるようになりました。『世の中にあるたくさんの選択肢の中から選べたら』という想いや、例えば生まれ育った実家での身支度など、地域に根付く結婚式への興味も強くなり、フリープランナーへの道を思い切って決意しました。不安は感じていた一方、当時は楽しみの方が大きかったですね。『GWA』には過去3 回出場していて、企業の垣根を超えた仲間は私にとって心強い存在でした。『何かあったらきっと助けてくれるよね(笑)!』という、いい意味でポジティブな気持ちも当時はありました。フリー時代を経て、2025年にCRAZYに社員として入社、再度会場所属となり、現在に至っています。」

 

コロナ禍から増えた業務量

――昨今は「フリーとしてスポットで働きたい」という人も増加傾向にあるかと。仁藤さん自身、キャリアに関する相談も多く受けているそうですね。

仁藤「ここ2 、3 年で相談件数は一気に増えてきた印象です。考えられる理由としては、SNSなどでフリーの働き方の情報を多く見るようになったこと。もう1 つは、コロナにより実施数の落ち込んだ結婚式が通常どおりできるようになり、自然と業務量が増え、『この仕事をずっと続けていくのは辛いよね』と、働き方や将来への不安を感じやすくなっていることも挙げられるかと。傾向として多いのは、入社3 年目のプランナーからの相談です。キャリア3年というと、プランニング業務も安定し、自信をもって接客できるようになる頃。結果として、『違うステージに行っても私はきっと頑張れる』という考えになっているかと思います。また、女性の多い業界ですので、例えば自身の結婚や出産を将来的に考えた際、ワークライフバランスも今のうちから重視しておきたいとなる。さらには、フリーの方が稼げるという情報も見聞きすることで、フリーの形態は魅力的に映るようです。」

仁藤「今の時代の入社3 年目というのは、私の頃の3 年目とも少し違うと感じています。まずは人材不足の深刻化から、以前と比較して育て切れていない状況の中、少しフライング気味でデビューする傾向にある点。もう1つは、システムの導入と発達です。システム自体のアップデートにより、カップルは自宅で“宿題”をこなしやすくなっていて、それによりプランナーの事務処理の負荷も軽減されつつあります。結果として1 年目で早めにデビュー、2 年目は担当もどんどん増えていき、3 年目ではこだわりの強いカップルも任され始めるなど、いわば“エース”という存在になる。その結果、『私は十分やり切った』という感覚が強くなると同時に、会社の体制や給与といった条件、人間関係などにこれまで以上に目が行き、そこに対する不満から、退社やフリーへの転身を考える流れかと思います。」

芳賀「私自身の3 年目も、まさにその感覚でした。後輩も増えて現場での教育を担当するようになり、支配人とも“目線”を合わせて話せるようになってくる。今振り返ってみれば、店舗全体のマネジメントと管理、支配人業務、経営視点など習得できていないことはまだまだあったにも関わらず、当時の私は全て学んだつもりでいました。自身のいた環境は社会全体から比較すると小さいものだったのに、全て分かった気になっていた。仁藤さんの言うように『やり切った』という感覚は、当時の私も抱いていました。」

仁藤「キャリアにおいて様々な選択肢があり、個々のスキルも異なるのは大前提としつつも、この3 年目の達成感は少し“危険”と個人的には感じています。プランニング力もついてきて波に乗ってきたと感じる一方で、その会場を飛び出してみたらどんなことができるのか。そもそも会場の提携パートナーは、『プランナーAさんの結婚式はこう、Bさんはこう』と、ありがたいことに個々の傾向を捉えてくれているケースも多いわけです。パートナー企業として提携会場を大切に思っている心理的背景もあるでしょうから、いい扱いをしてもらっている環境に身を置いていることに、実は気付けていないパターンも多いかと。3 年目は一定プランニングができるようになってくる頃ではあるものの、例えば、会場が個々の得意・不得意をきちんと把握したうえで、成約を取れるようアサインで配慮をしてくれているかもしれない。ヒアリングの時間も多めに取らせてくれているかもしれない。パートナー企業が少しの“ワガママ”に目を瞑ってくれているかもしれない。自身のミスを会社がカバーしてくれているかもしれない。こうした背景には、会場とパートナー企業とのこれまでの関係性、入社から自身で築き上げてきた信頼など、様々な要素があるわけです。この環境からいざ外に出てみて、例えば打合せ時間に限りがある会場にスポットで入った場合、同じように活躍できるかどうか。そうした難しさは、外に出てこそ見えてくるわけです。キャリアの選択は自由であるというのは大前提ですが、相談者の中にはフリーでやっていくにはまだ早いのではと思うケースもゼロではありません。私自身社員として20年近くキャリアを重ねた後に独立したからこそ、客観的に見られる部分もあります。その人にとっていいプランナー人生になるよう、正しい判断をできるようにするのは、経験の長い人達の役目とも感じています。反対に、こうした面をクリアできるのであれば、その人はフリーとして活躍できる可能性を十分秘めているわけです。」

――そもそも『フリープランナー』を紐解いていくと、自身で集客から施行までを担う“完全独立型”のようなパターンと、スポットで接客を担う請負型があります。

仁藤「昨今私が受ける相談は、前者のようにできればと思いつつも、スキルの不安もあり、まずは後者のスポット、請負スタイルを希望する人が多い印象です。」

 

クリエイター選出の難しさ

芳賀「私自身もまさにそのパターンでした。独立するタイミングでは、フリーになるからには集客も含めて全て自分でやっていこうと。それを前提としたステップで、請負のプランナーとしても働き始めました。あるプロデュース会社に請負で入ったことは、様々な気付きもあり、改めて勉強になったと感じています。ゲストハウス時代は常に同じ提携先と仕事をする流れでしたから、フリーになりクリエイターを都度セレクトする業務、異なるメンバーとのチームビルディングは、式場では得られないとてもいい刺激でしたね。入る式場のスタンス、完全フリーランスなどのスタイルにもよると思いますが、どのクリエイターとタッグを組むかといった業務、マネジメントなどは、やはり一定の力を付けてからの方が楽しさを感じられるのではと思います。というのも、こうした業務は想像以上に労力を要し、私自身は大変さと難しさを痛感。それと同時に、式場と提携パートナーという関係性の魅力を改めて感じる貴重な機会になりました。異なる企業とはいえ、『いい結婚式を、この会場で一緒に創りたい』という同じ想いを持ち、信頼関係をすでに築けているパートナーだからこそ、お互いに改善案も出しやすく、カップルが求める商品をスピーディーに企画し届けられる可能性もあるわけです。社員なのかフリーなのか雇用形態を第一に考えることはもちろんいいと思う一方で、1 番重要なのは、会場所属かフリーなのかの枠組みを一旦外し、自分のやりたいことを改めて考えた時に、そのゴールを追うのに一番近い場所はどこかを考えていくことだとも感じます。そうした背景から、私自身はフリーではなく、CRAZYに社員として入社。最終的に会場所属を選び今に至っているという流れです。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月11日号)