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結婚式費用の感覚を来館前に掴む【ウエディングパーク mieruupark責任者 松尾 美緒氏】
ウエディングパーク(東京都港区)は11月8日、結婚式費用のシミュレーションができるサービス【mieruupark(ミエルーパーク)】を、全国の式場に向けて販売開始した。テイクアンドギヴ・ニーズ(以下T&G)と共同開発し、同社の運営する20施設においてテスト導入していたサービス。mieruupark責任者の松尾美緒氏に、サービス内容を改めてヒアリングすると同時に、実際の運用方法、T&Gの導入から見えてきた様々なメリットなどを追った。
11月から式場に販売
――T&Gの20施設でテスト導入していた結婚式費用のシミュレーションサービス『mieruu』ですが、『mieruupark』への改名を経て、11月から全国の式場に向け販売を開始しました。改めて、具体的なサービス内容は。
松尾「大前提として、その式場の2 、3 年分の実際の最終金額を基にした分布データから、数字が算出される仕組みです。ブライダルフェアの予約が入った段階で、各式場専用の『mieruupark』のログインサイトをカップルにメールで共有。機能は大きく2 つあり、『支払総額分布』と『カンタン事前見積り』です。『支払総額分布』は、例えばゲスト人数を60~69人で選択すると、300万円台のカップルは何%、500万円台のカップルは何%とそれぞれの金額における割合が棒グラフで分かりやすく表示される仕組みです。この総額だけでは、具体的に中身がどういったものかは見えないので、もう1 つの機能『カンタン事前見積り』を用意しています。こちらもゲスト人数を選択した上で、例えば挙式料、装花・装飾、料理などの各項目の費用分布データをチェックできます。見積りデータの編集ボタンをクリックすると、例えば1 万3000円と2 万円の料理を比較し、想定人数分だとどれくらい料理の総額は変わってくるのか簡単にチェック可能です。このページには写真も入れられるので、イメージ画像を見ながら、『雑誌のような装花をゲストテーブルに置く場合は、これくらいの費用感になるのか』と、イメージを持ってもらえるようになります。また、実際にこの会場で式を挙げたカップルが、各項目にいくらかけたのかの費用分布も見られる仕組み。あわせて、直近の日程や仏滅などによって、どれくらいの割引が適用されるのかもチェックできます。」
――来館以前に『mieruupark』を使ってもらい、結婚式費用についてのカップルの理解度を上げていくことを狙いとしています。
松尾「例えば成約後、『料理をランクアップすれば金額は上がるのは当然』と事業者側は分かっていても、その仕組み自体をカップルが理解していないケースも多い。費用の前提知識もない中で新規来館し、プランナーから『何か費用・見積りについて質問はありますか?』と聞かれても、『(まだよく分からないので)今は大丈夫です』となってしまうのは当然でしょう。本サービスの最終ゴールは、1 円単位の細かい見積りを出すことではなく、カップルが結婚式費用の感覚を来館前に掴めるようにすること。もっとも、本サービスだけで金額・見積りの全ては伝えられません。カップルの理解度を来館前に上げておければ、『テーブル装花は絶対にこだわりたいから、その場合予算はどれくらい必要なのか、来館日に詳細を質問してみよう』と、建設的な会話に繋がることも期待できます。」
CXL率の改善にも寄与
――来館前から“誠実”に費用を見せることは、他社よりも費用面で“負ける”可能性もゼロではありません。そうした不安の声もある中、実際にテスト導入したT&Gの20施設は、「成約率に関してマイナスの影響はない」ということでした。反対に、導入による様々なメリットが見え始めているそうですね。
松尾「ユーザーからは、『不透明になりがちな価格部分をきちんと開示してくれたことに好感が持てた』と、式場のスタンスを評価する声も。また、導入施設は契約後のキャンセル率が改善されたという結果も出ています。特典などを踏まえて来館当日急いで成約したものの、費用面などの不安が大きくなり、その後キャンセル料を払ってでも他会場に決定し直すケースは、業界全体でも一定数あるわけです。本サービスを利用し、費用において納得の上で成約に至っていることは、キャンセル率改善の要因の1 つとして捉えています。また、見積り=最終クロージングの段階との認識もある中で、来館前に費用をオープンにしていることから、クロージングの時間で話すのは、自社だからこその強み、この式場ならどんなパーティーが叶うのかなど、本質的な部分に集中できることもメリットの1 つです。」
――T&Gは運営する58会場での導入を決定。その他企業への案内状況や、実際に導入するまでの流れなどは。
松尾「私と当社社長・日紫喜を筆頭に、各式場を担当するセールスチームからも案内を強化。来年以降の導入に向けて、動き始めた式場もあります。導入までの流れとしては、過去2 、3 年分の実際に式を挙げたカップルの支払総額データをCSVファイルなどで用意してもらい、当社まで送付。また、『カンタン事前見積り』の料理、挙式料などの項目は各社調整できるので、その設定などをしたうえで導入となります。費用は年間契約で税別60万円、月額にして5 万円。先行導入企業には更にお得に利用できるキャンペーンも実施しており、ぜひこの機会に検討してもらえれば。『初期段階から費用の話をすると、結婚式への憧れは薄くなってしまうのでは』という声も一部ありますが、運用開始以降、カップルはこうしたサービスを求めていたと強く感じています。もちろん新サービス導入にあたって事業者側に不安があるのも当然でしょうから、まずは1 、2 店舗から導入を始め、その効果を見てほしいと思っています。」
――責任者である松尾さん自身、このプロジェクトにかける想いも相当強いようですね。
松尾「内容にこだわった結婚式には一定の費用が必要で、状況によって見積りが変化するのは当然のこと。とはいえ業界のこの当たり前の考えは、カップルにとって『知らなかった、聞いてなかった』ということも多いわけです。現時点では『結婚式の初期見積りは“嘘”。そこから大きく上がる』という意見も一部SNSで見られているからこそ、本サービスを通じて費用の透明化をブライダル業界全体で広めていきたい。『価格面も理解し、納得のうえ成約できた』というポジティブな声が、ここから先増えていくことを期待しています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月1日号)

