LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

結婚式を輝かせるキャプテンのノウハウ 求められる準備力・イレギュラーへの対応力【ホテルニューグランド 宴会サービス課主任 辻堂 博司氏・東京ドームホテル 宴会サービス課 アシスタントマネージャー 徳山 達仁氏・ホテル椿山荘東京 宴会サービス課 担当マネージャー 落合 真希氏】
披露宴を取り仕切るキャプテンの所作ひとつで、結婚式に対する満足度は大きく変化する。ホテルで経験を重ねてきたプロフェッショナルは、結婚式にどのように臨み、チーム全体をコントロールしているのか。そこで各ホテルで活躍する3名のキャプテンを招き、結婚式をより良くするための意識付け、テクニックについて聞いた。これからキャプテンを目指す若手達の学びに繋げていくほか、現場施行力を高めていくためのノウハウは、キャプテンの経験値が不足している会場にとっても多くのヒントに溢れている。
平日にプランナーと共有
――婚礼キャプテンは、事前の準備力も大切です。当日施行のミスを防ぐ上でも大切にしているポイントとは。
辻堂「私の場合は、前日に進行表を確認しながら、ここで何をするかなどのメモを細かく書き込んでいます。特にイレギュラーな進行などがある場合には、絶対にメモを書いておいて、それを確認しながら当日に対応しています。例えば、この場面で両親と写真を撮るから確認をしておく、ドレス当ての仕込みのボックスをこのタイミングで部屋に持っていくなど。進行内容もチェックしておくべきポイントも披露宴によって異なるからこそ、絶対に忘れないように。その他にも新郎新婦の情報を確認できるシートから、2 人の人柄、性格、家族構成、結婚式に対するこだわりポイントなどをまとめておき、それも含めて当日に進行していきます。」
徳山「私の場合は、当日全体での打合せの時間は長く取らずに、個別で音響照明、アシスタント、料理コントローラーなどの現場スタッフと直接話に行くようにしています。例えば音響照明の担当がいる中で、料理の話をしてもその時間はもったいないと思っているため、それならば私が料理の打合せを料理担当としている間に、指示しておいた照明を作っておいてもらう、ムービーを準備しておいてもらうといった時間の使い方を重視しています。個別に打合せをするために現場を走り回ることになりますが(笑)、それで自分のムードを上げていくという意味合いもあります。新郎新婦の身内のつもりになっていたいとの考えを持っているため、走り回りながら気持ちを盛り上げていきます。」
落合「担当する土曜日・日曜日の情報を、平日にプランナーと情報共有する時間があります。結婚式では様々なミスも起こりやすいですから、そこで2 、3 日前に担当キャプテン、アシスタント、担当プランナーとの事前打合せを数年前から始めました。その時には2 人のこだわりポイントなど、提案書だけではわからない部分も含めて、細かな情報を把握するようにしています。その点で、プランナーから直接、事前共有出来る時間は大切です。最近は余興をそれほどせずに、2 人らしさを出したいという新郎新婦も多い。例えばウェルカムスペースを華やかに飾りたいといった希望があれば、私たちも時間をかけ、気を配りながら準備をしています。飾り付けを指定した写真を持参する2人の場合には、それだけこだわっていますから、より慎重に対応しています。」
――当日の現場スタッフ、パートナーとの連携も準備に含まれるかと思います。
辻堂「例えば、司会者が祝電の名前を読み忘れるといったことも起きたりします。司会との打合せは音響とともに披露宴開始前に実施しますが、やはり連携が取れていないとこうしたミスに繋がってきます。そこはホテル側としても、入念なサポートは必要です。」
徳山「最近は写真にこだわっている人も多く、そのためカメラマンに対して新郎新婦からのリクエストや要望はより綿密に確認したりしています。さらに、こちらからの要望として【ここでも撮りませんか?】、【こういうシーンでこういう角度から撮ってみませんか?】といったことも話しています。例えば新郎新婦の入場の際に前と後ろから撮ってほしいという要望があったとします。その場合にはさらにプラスアルファとして、後ろを撮ったあとで時間を取るから、回り込んでもう一度前から撮ってもらえないかなど。特にカメラマンとの連携は、密に取り組むようにしています。」
――初めましての新郎新婦、家族に対して、緊張をほぐしていく役割も大切です。
落合「私は新人時代に目標にしていた女性キャプテンがいて、それ以来の女性キャプテン就任でした。当時はプレッシャーもありましたが、女性だからこそ出来ることもあると考えています。例えばお父さん、お母さんの身だしなみも含めてチェックをし、多少乱れていれば整える。本来は介添えスタッフの仕事でもありますが、任せすぎずに自分でもやれるところはなるべく対応しています。細かいところまでしっかり気にかけていることを理解してもらえば、安心感にも繋がりますから。また最初に新郎新婦の2 人の体調面も確認しています。ホテルに泊まってもらっていることも多いので、『昨日はゆっくり休めましたか?』といった声を掛けるようにしています。」
――キャプテンの対応次第で、結婚式は素晴らしい空間になっていくと思います。これまでの経験から、こだわっていることはありますか。
徳山「披露宴は新郎新婦のものであると共に、親族、特にお父さんお母さんに喜んでもらいたいという想いを強く持っています。例えばお色直しの退場の際、親族席に近づいたらスポットの綺麗に当たる位置で一度立ち止まり、両親や祖父母と写真を撮ってもらう時間を設けて退場するようにしています。余興の進行にない一つの演出としての提案です。また照明に関しては個人的にもかなりこだわっていて、新婦の手紙や謝辞のシーンでの立ち位置、照明の当て方については、披露宴が始まる前に細かく打合せして決めています。点け方、消し方、そのタイミングまで。例えば新婦の手紙のときにはより新婦が綺麗に写るように、ピンスポットは狙わず上からのシュートだけの照明にしています。顔に影を出した幻想的な雰囲気を作っておき、花束を持って両親のもとに歩き出すタイミングで、ピンスポットがフェードインしてくる。そうした操作は、照明に事前に話しておかないと出来ません。リハーサルでは私とアシスタントが一緒に歩きながら動線確認、どの角度で照らすかまで入念に打合せをしています。」
落合 「当ホテルは基本的に窓のある会場なので、写真の写り方、周りに不必要なものが置かれてないかなど、写真への配慮には気を使っています。例えば西日の強い時間帯で逆光になっていると感じれば、私自身でカメラ操作をさせてもらい写真を撮ることもあります。撮影に関して、基礎的な知識を学んできた経験が活きています。」
辻堂「披露宴の先導の際は、写真に写り込まないように距離感は意識しています。またケーキ入刀であれば、お皿もなるべく見えないところに置く、切った後のナイフは必ずすぐに裏に持っていくといったことにも注意。新郎新婦、ゲストからの見え方を意識しながら、写真に余計なものが写らないように気を配っているイメージです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月21日号)

