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接客音声AI解析プロダクトで現場業務にイノベーション【Speria 代表取締役 仲田 真氏】

接客音声AI解析プロダクトで現場業務にイノベーション【Speria 代表取締役 仲田 真氏】

 音声データのAI解析プロダクトを開発・販売するSperia(東京都渋谷区)は、対面接客時の会話音声を基に顧客カルテを自動作成する「AIカルテ」、接客評価および品質向上を支援する「AIコーチ」、オンライン上にある顧客からの評価情報を分析し、ターゲット設定や戦略立案に活用する「AIマーケティング」を提供している。対面サービス業を中心に導入が進む中、婚礼業界でも「人材教育」「業務効率化」「集客促進」の課題解決に活用されている。

ブライダル事業者の接客は、新郎新婦と事業者の双方にとって情報量の多いコミュニケーションが求められる。そのため接客時間は長くなりやすく、伝達事項や収集すべき情報量も膨大になりがちだ。
SperiaのAI解析プロダクトは、こうしたブライダルの現場課題に対応する。新郎新婦と担当プランナーの会話内容を分析し、評価や改善点をスコア化するとともに、会話から得られた顧客情報をデータ化することで、現場業務の可視化と人材育成を同時に実現する。すでに全国の婚礼施設で導入が進み、数100件の会話解析実績がある。
代表取締役の仲田真氏は「当社のソリューションは、特にブライダル業界では『教育』『業務効率化』『集客』の3 つのテーマにおいて、課題解決につながる価値を提供できる」と語る。
【教育】
課題:プランナー一人ひとりの課題や改善点が把握・可視化されず、プランナー側の「どう改善すればよいのか分からない」という状態が放置されている。
SperiaのAIコーチは、接客時の会話を録音・解析し、プランナーごとの対応内容を分析。具体的な改善提案を含むレポートとして提示する。単なる課題の指摘に留まらず、優秀なスタッフの実際のトーク事例も提示できるため、成約につながる実践的なナレッジを即時に共有できる。プランナーは「何をどう言えばよいか」を具体的に理解し、行動変容につなげやすい。
仲田氏は「実際に当社ソリューションを導入しているホテルの婚礼部門では、新規接客成約率が前年比で約7 ポイント向上したケースもある(平均35%→同42%)。約40件の接客データがあればレポート生成が可能で、早ければ1 ヵ月程度で導入成果が見え始める」と語る。
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【業務効率化】
課題:接客メモや報告書の作成、資料整理、共有等、多くの事務作業が発生。複数回の打合せで蓄積する膨大な情報は紙ファイルで管理されることが多く、スタッフ間やパートナー企業との円滑な情報共有を妨げている。
同社の「AIカルテ」は、接客内容の記録・要約、顧客情報の整理、次回アクションの提案文作成等をAIで自動化する。同社の試算では事務作業の所要時間を3 分の1 から4 分の1 ほどに短縮でき、プランナーは本来注力すべき顧客対応や提案業務に時間を充てられるようになる。
料飲・調理等の他部門のほか、衣裳や写真・映像、装花といったパートナー企業との情報共有も効率化される。顧客情報を簡潔にまとめた資料やメール文面を自動生成し、関係者間でスムーズに共有できる仕組みも提供可能。導入施設のペーパーレス化の進捗状況に応じて柔軟に運用でき、デジタル管理と紙管理の双方に対応可能な点も導入ハードルを下げている。
仲田氏は「パートナー企業側からも、会場側と同一のシステム上で情報を閲覧・連携したいという問合せや相談が増えている。情報伝達の不備によるトラブルや行き違い防止、クレーム対策にもつながる」と語る。
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【集客】
課題:集客施策を主に担うマーケティング部門と、営業現場との肌感覚の乖離。現場に蓄積された顧客反応や成約要因の知見が十分に共有されず、実態に即した施策立案がされていない。
従来のマーケティング施策は媒体別の反響数や来館数等の定量指標が中心だったが、実際の接客現場には、来館理由や訴求反応、決定要因といった、広告管理画面だけでは把握しきれない重要な顧客インサイトが蓄積されている。こうした接客会話をAI解析し、集客施策やクリエイティブ改善等に生かす。
近年は婚礼情報メディアやSNS、検索エンジンに加えて、AIサービスによる情報推薦の影響力が急速に高まっている。AIに相談した結果をもとに情報検索や意思決定を行う行動パターンが広がる中、従来のSEO(検索エンジン最適化)とは異なる「AIO(AI最適化)」の重要性が指摘されている。
仲田氏は「当社サービスはAI最適化にも効果が大きい。実際の成約データや顧客ペルソナをもとに、AIに推薦されやすい情報設計を支援する。顧客ニーズに合致したAI検索対策ができるからこそ、AI回答内での露出向上が図れる」と語る。
「特定ニーズに強みを持つ会場の強みを可視化して適切に届けることが、今後の集客では重要になる」と仲田氏。 SperiaのAI解析プロダクトは、現場の業務改善から教育体制の強化、さらにはマーケティングの高度化までを一貫して支援し、人材不足や競争激化といった業界課題に対する有効なソリューションとなっている。仲田氏は「属人性の高い業務を担っているブライダル企業には『人をどう育て、どう活かすか』という本質的なテーマがある。当社はこのテーマにデータとAIでアプローチし、業界全体の生産性向上と顧客体験の向上に寄与していきたい」と語る。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1日号)