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単価アップを目的にしない【Daiyu 取締役/CMO 水間恵子氏】

単価アップを目的にしない【Daiyu 取締役/CMO 水間恵子氏】

 鎌倉で50名400万円という高単価を維持しながら、列席ゲスト・紹介による集客の割合が全体の20%以上、施行数も年200組前後を誇る萬屋本店。人生の節目である結婚式を、いかに新郎新婦にとって意味あるものにするかという本質を真摯に追求してきたからこそ、熱狂的なファンを獲得してきた。同会場を運営するDaiyu(神奈川県鎌倉市)の取締役で、萬屋本店のGMを11月まで務めてきた水間恵子氏が、満足度を高める要素を語る(前編)。

【お客様本位】を貫く文化

 

――鎌倉というローカルエリアで、萬屋本店の強さの理由をどう考えていますか。

水間「徹底して【お客様本位】であることだと思います。私自身、12年前に長野の結婚式場から転職してきました。入社してまず感じたのは、他社ではなかなか出来ない【お客様本位】を、Daiyuは徹底的に追求していると。例えばプランニング一つとっても、流行りだから、単価が取れるからではなく、新郎新婦の人生にとって必要でありプラスになるかということを軸に決定している文化です。代表の宮腰真里が旗振り役となって、どんな時でも『それはお客様にとってどうなのか?』という問いを投げてきます。その結果、方向性のズレも修正され、組織全体で24時間365日【お客様本位】を貫く意識になっています。」

――他社でも【お客様本位】は掲げています。それを貫けるかという点で、具体的にどのような違いがありますか。

水間「例えば他会場で働いていた時のプランニングや提案は、単価アップになるものを組み込むのが前提でした。チャペルの椅子100脚であれば100脚分の装花を入れる、テーブルラウンドで有料の演出を組み込み、生演奏を15万円で提案するなど。一方、萬屋本店で10年続けてきて看板的な価値になっている【挨拶の儀】と【ゲスト紹介】については、いずれも料金は発生しません。挨拶の儀は、支度の整った新郎新婦が、挙式や披露宴前に両親と向き合って話をする時間を10分程度設けています。これまでの感謝や本音を伝える大切な機会で、親から返ってくる言葉も含め、人生の節目として強く記憶に残る時間になります。これについても、2 人の人生に必要であれば行うという考えをもとに始め、10年前に自社会場を持った際にも絶対に必要であるという判断から、オペレーションや動線、会場設計を見直して、しっかり対応できるようにしました。」

水間「ゲスト紹介については、披露宴中の歓談時間に行うもので、招待したゲスト一人ひとりを新郎新婦から感謝を込めて紹介していきます。例えば職場の上司であれば、『節目ごとに指導いただき、社会人として成長させてもらった大切な存在』といったように。この提案をするとほぼ全ての新郎新婦は実施していて、通常行われる友人スピーチや主賓挨拶、余興、プロフィール映像などの時間を、ゲスト紹介に充てています。一人ひとりですから確かに時間はかかるものの、ゲストからしても新郎新婦のことは知っているけれど、他のゲストのことは知りません。親や家族からすれば、自分の息子・娘はこんなに素晴らしい人たちとコミュニティを作っているということを改めて実感できますし、紹介で知り得た情報をもとに歓談の時間でゲスト同士の交流も生まれます。新婦の友人の若い女性が、新郎の60代の叔父にお酌をしながら、紹介で知り得た共通の趣味である山登りの話に盛り上がり、そこから一緒に行く仲間になるなど、新たなコミュニティも生まれています。このゲスト紹介も、会場の単価アップにはなりません。普通であれば単価アップになる演出をもっと販促しようと考えるわけですけれど、そういう会話に一切ならない。なぜならば私たちの言う本質的な結婚式の価値だと思っていて、人の集う機会だからこそやるべきことは何か、少なくとも演出を見せることではないと。本当に人生で忘れられないような繋がりを生む、感謝を伝える、感情を共有する。そういう大切な時間を作るのが私たちの役割であって、それを見たゲストも他にはない形であるからこそ、ここで結婚式をしたいとなってくれるのは自然の流れです。」

――単価アップを軸にしていないにもかかわらず、萬屋本店は50名で平均400万円を超えていて、エリアでも高いレベルにあります。

水間「その理由として、料理は1 万6000円と2 万1000円の2コースのみしか設けていません。エリア的に料理1 万2000円の初期見積もりを出す会場も多い中、萬屋本店はオープン当時から誰に出しても恥ずかしくない価値あるものをラインナップするという考えに基づき、ボトムも高く設定していました。ちなみに5 月にオープンする三河屋本店についても、肉懐石コース1 万8000円一本。この考え方は料理のみならず、他のアイテムにも通じています。例えば衣裳。初期見積もりを10万円程度にする会場もありますが、そうすると当然10万円レベルのドレスも用意しなければならず、さらに借りられる種類には限界もある。そうした見積もり設定をしたくなかったため、当社では初期の段階から特別プランでも25万円という形にしていて、その中で45万円分まで借りられるようにしています。ラインナップには、会場撮影でモデルが着ているものも含めています。料理も衣裳も、ボトムの設定そのものが初期見積もりを下げるための低価格のものとは一線を画しているので、結果的に平均単価は高まっていきます。これは初期見積もり段階での差別化という点で、安さでは勝負しないという考えによります。」

――とはいえ、衣裳については単価アップも珍しくはないそうですが。

水間「まず、衣裳店に萬屋本店専用のショップを作ってもらっていて、その衣裳の買い付けには社長の宮腰と私が衣裳店のバイヤーに同行しています。自分たちで見て本当に薦めたいものだけを選定した衣裳は、萬屋本店以外では出さないオリジナル。結果として会場に合った、質の高いものが揃っています。色打掛の中には、100万円クラスのものもあり、それを気に入ってもらえれば一気に単価が上がることも出てきます。もともと萬屋本店には以前からインスタグラムをフォローしていて、世界観を彩る衣裳一着一着に強い思い入れを持って来館する人も多いですから。その循環によって単価アップに繋がっています。」(次号に続く)

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1日号)