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キーマンに聞く

共通点は徹底した現場目線【ブラス 代表取締役社長 河合達明氏×東京會舘 常務取締役営業本部長 星野昌宏氏】
経営者を始めとしたマネジメント層が、随時現場を確認しながら、新郎新婦のニーズを把握したうえで自社の強みを検証する。そこから組織作りや商品開発に繋げていくことこそ、ニーズの多様化している現代ではより重要になっている。その点、【結婚式屋】と自称して現場に赴き現場力を高めているブラス(名古屋市中村区)の河合達明社長と、昨年だけでも自ら50件以上の担当を持って新郎新婦に直接対応してきた東京會舘(東京都千代田区)の星野昌宏常務は、スタイルは違えど現場目線という共通点があり好業績を生み出す原動力になっている。現場目線をテーマにした対談を、今号、次号の2号にわたって掲載する。(前編)
ハウスWブームの追い風
――ブライダル業界では、経営者が現場から離れてしまい、日々変化するニーズをリアルに把握できる機会も少なくなっています。今一度当日を含めた現場目線で、きちんと原点に立ち返る必要があるのではないかと。そうして生み出された結婚式のスタイルこそ強みになり、結果として業績を押し上げていきます。実際にブラスの場合、前期は過去最高の業績で、平均単価もコロナ前の水準に戻りました。
河合「もともと私は、結婚式の司会をしていて30年前に事務所を作ったわけですが、様々な結婚式で司会をしているうちに、もっときちんとしなければならないという思いが強まっていきました。単純な話として、自分が新郎新婦やゲストの立場であった時に、こうして欲しいという課題が山のように出てくる。それならば自分でやるしかないと、会場運営を開始した経緯があります。当時はハウスウエディングブームという追い風もあって、2003年に住宅展示場を改装して1 号店を作りました。運も良かったですね。」
――その後、店舗展開を進めていったわけですが、ブラスと言えばやはり1 チャペル1 バンケット、1 日2 回転へのこだわりがあります。
河合「司会の仕事をしながら、当時流行っていた名だたる会場の結婚式をこの目で見てきました。1 バンケット年間220件、3バンケットであれば660件。平均単価は440万円で、営業利益も30%程度になる。これは儲かる商売だという考えの一方、他と同じことをしていたらブラスとしての存在価値はまるで無いなと。だからこそ、とにかく良い結婚式を提供していくという原点を貫いてきたのが、当社の大きな特徴です。全ては、そこを中心に創ってきました。例えばサッカーの試合を見る際に、陸上トラックのある競技場と、サッカー専用スタジアムのどちらの方が盛り上がるかは誰にでも分かること。1 チャペル1 バンケットも、結婚式専用スタジアムだからこそ盛り上がることができるという考えです。オープンキッチンにこだわるのも、いいものを提供するためには当然必要だろうと。プランナーの一貫制も、最高の結婚式を引き出すための仕組み。本当に単純なことで、当社の設計は【いい結婚式を創る】に全てが繋がっています。ただ、それは当たり前のことであって、例えば飲食業であれば、一生懸命いい料理を作って提供し、その評判で顧客を集めている。結婚式業を経営する以上、いい結婚式を創ることに全力を尽くすのは特別なことではないでしょう。」
星野「ただ儲けるためだけに、結婚式をやっているという考えが多いのも実情かと。そこは目的と手段が入れ替わっているイメージはありますね。」
河合「当社では基本の部分を大切にしているとはいえ、必ずしも数字的に勝っているとは言えないのも事実。例えば新入社員を募集するにあたって数多くの応募が来るのは、そういう想いを調べて働きたいと思ってもらえているからという面はあると思います。一方で、なかなかそれが顧客にまでは伝わらない。結婚式に対する当社の姿勢がきちんと顧客に伝わっていれば、もっと集客や受注も楽勝だと思うのですが(笑)。それがなかなか伝わらないのも、結婚式の大きな特徴だと言えます。」
初年度にクレームも発生
――東京會舘は2019年のリオープン以降、都内有数の人気会場となり、今期に関してもコロナ禍から完全に脱した好業績となっています。
星野「当社は1922年に創業して、今年102年目です。現在の建物は3 代目で、2019年1 月にオープンしました。結婚式に関しては、建て替え前はバンケットが10あったものの200件から300件程度の施行に留まっていました。今と違うのは、当時はレストランが100席以上の大箱で、個室も数多く設けていたのですが、そこにスペースを取りすぎていて、バンケットも小~中宴会場中心。メインホールのローズは昔からありましたが、9 階に位置していたため、エレベーター前には人が溢れている状態だったわけです。そうしたこともあって宴会も中途半端でしたし、レストランもバブル以降は閑古鳥が鳴いていました。結婚式については30、40人規模中心で、バンケットの天井高も低く、チャペルは特設のような感じでしたから弱いのも当然。ただ建て替えにあたって400億円程度のコストがかかることもあり、当然売上を確保しなければならない。シミュレーションをしていくと、結婚式を数多く施行することが必須になっていきました。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1-11日新春特大号)

