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キーマンに聞く

プレゼン型接客の限界【Akala 代表取締役 菅野佳世氏】

プレゼン型接客の限界【Akala 代表取締役 菅野佳世氏】

――新規来館ユーザーの変化をどのように考えていますか。

菅野「結婚式に対する価値観、要望、温度感は大きく変化しています。以前は独立型のチャペルで結婚式を実施したい、大階段でのフラワーシャワーが憧れだったというような話が新婦から出て、それであれば当会場はピッタリですと言えたわけです。現在はとりあえず来たという人も増えていますし、さらにそうした憧れがあっても言わない。アプリなどでカップルになる人も増えていることで、出会いから結婚までも早く、新郎新婦それぞれに遠慮がある状態だからと考えられます。アプリでは相手を探すのに、条件を設定します。年齢、家族構成、年収など。その条件に合った人とデートをして結婚にまで至りますが、条件をクリアしていてもお互いの人生や価値観はそこまで知らない。デートの回数も少なく、擦り合わせの出来ていない状態で結婚式をしようと思っても、互いに遠慮をして憧れなどを話してくれません。」

――温度感自体の低いカップルもいます。

菅野「結婚に至る過程として、すでに同棲、入籍している人が多いのは影響しているかと。不動産会社の人との話では、カップルの意識として結婚式はお金もかかる、面倒くさいとネガティブ。それでも親のためや、兄弟みんなやっているからと仕方なく考えます。特に男性側は既に一緒に住んでいるのに、結婚式によって何が変わるのかという想いもあり消極的です。男性がそうであるため、女性に憧れがあっても言いづらい。生活もありますから。」――それでも結婚式を実施しようと考え、来館してくれます。菅野「ただ、そこに至るまでの様々な葛藤があり、それは簡単なものではなくなってきています。もしくは、初めに指摘したように付き合い期間も短いため、結婚式に対する価値観を擦り合わせていないカップルもいる。それを新規時に引き出してあげなければ、色々見たけれど結婚式自体を止めるという結論に至ってしまいます。」

――現場の成約率は高まっているという話も聞きますが。

菅野「全体としては上がっているものの、成約率の高い人と低い人で差が広がっています。集客が減少しているため、高い人をなるべく新規に出しているケースも多く、全体の成約率で見ると上がっていても受注数は計画に至っていない状況かと。成約率の高い人は、結婚式をやるかどうか、結婚式場はどこでもいいと思っている人に対して、そこに至るまでの経緯、2 人の想いなどのヒアリング能力が巧みです。それぞれの思いを引き出し、新郎新婦がお互いを知る機会にもしています。一方で成約率の低い人は、プレゼンテーション型のマニュアル接客から脱せていないのが要因です。」

――事前のカウンセリングこそが重要との考えですね。

菅野「プランナー教育を担当していると、クロージングで何を言えば決まるかと尋ねられることもありますが、魔法のトークはありません。結局はカウンセリングこそ重要で、新郎新婦それぞれの想いを引き出し、その情報を基に会場案内、見積もり説明で答え合わせをしていければ、自分たちに合っていると成約になります。そこで必要になるのが、カウンセリングシートのアップデート。多いのは、最初から希望の時期、人数、何件目の見学か、競合はどこかなどの条件ばかり並んでいるシート。こうした質問は、会場側の知りたい情報であって、少なくとも2 人の人となり、価値観を知るためにはなであれば、シートにないことも聞けますが、新人や普段は打合せの担当がたまに新規に出ている場合、シート通りに聞くことしかできません。人となりを聞く機会なく進んでいっても、成約できないのは当然です。」

――ポイントはありますか。

菅野「最初の項目に、【見学に来てくれたキッカケ】などを設けておきます。ゲストハウスであれば媒体を見て、列席して良かったなどの回答が挙がるでしょう。一方ホテルの場合には、来館までの何らかの接点を知ることが出来ます。誕生日に宿泊したことがある、レストランが良かった、プロポーズをここでしたから。他にも別の場所のグループホテルに行ったなど。この接点を掘り下げていくと、2人の家族、プライベート情報に繋がっていきます。仮にレストラン利用はどんなキッカケだったのかを聞けば、仕事関係のパーティーで訪問した、実は幼少期の頃から両親に連れてこられていたなど。このプライベート情報が人となりであり、さらにお互い知らなかったことを引き出すキッカケにもなります。」

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)