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ステージに応じた研修【リクルート クルートブライダル総研研究員 金井良子氏】

ステージに応じた研修【リクルート クルートブライダル総研研究員 金井良子氏】

プランナーの早期離職の背景には、給与や休日数などの条件面以外に、プレッシャー、自信喪失といったモチベーションの低下も大きい。リクルート(東京都千代田区)の運営する『リクルートブライダル総研』は、プランナーのキャリアアップを支援する研修を今後本格展開する。これに先駆け、キャリアに応じた5つのステージを策定。研究員・金井良子氏に、人材不足の課題、各ステージの特徴など話を聞いた。

―― 総研で展開している、『GOOD WEDDING COLLEGE』の主なサービス内容は。
金井「コロナ終焉の兆しがようやく見えてきた、2022年からスタートしました。当時は業界を離れていくプランナーが今以上に多く、人手不足は深刻な課題に。ブライダルのメディアとして人材難に中長期的に向き合っていきたいとの想いから、人材育成支援のプラットフォームとして運営しています。主なサービスの1 つは、動画コンテンツ。いい結婚式を発表する『GOOD WEDDING AWARD(GWA)』のファイナリストのプレゼンをはじめ、人材育成のポイント、調査結果の解説動画など幅広い内容を取り扱っています。ブライダル従事者を対象にしており、会員登録さえすれば、サイト内のコンテンツは全て無料。いつでも閲覧可能です。」
――入社時には高いモチベーションを持っている一方で、中長期的なキャリア形成まで至らず、結果的にプランナーの離職率は課題になりがちです。
金井「総研で実施した『ブライダル働き方実態調査2025』では、特に3 年未満の離職意向は54.5%と高い水準。そのうち他業界への転職・独立は24.2%を占めており、4 人に1 人が『ブライダルの仕事を辞めたい』と考えていることも分かりました。若手層の主な退職希望理由としては、給料が低い、休日が少ないといった条件面での不満が1 つ。特に入社1 年目などは、プレッシャーに負ける、自発的な行動ができないなども大きな要因となっています。こうした問題を放置してしまうと、自信喪失とモチベーションダウンからくる、早期離職を引き起こしてしまう。また、キャリアアップしていくと、『将来の展望が見えない』といった回答も見て取れました。給与などの条件面に当社が関与するのは難しいからこそ、働きがいや成長意欲を後押しするサポートを用意し、ブライダル業界の人材課題に貢献したいとの想いです。」
――総研では改めて、5 つの『プランナーの成長ステージ』を策定しました。
金井「よく耳にするのは、『2~ 3 年働いて“おなかいっぱい”になったので辞める』という声。とはいえGWAのファイナリストなどを見ると、キャリアを重ねていくからこそ、“深い”プランニングになっていくというのも事実です。早期離職の課題の1 つは、自身の立ち位置が今どこにあるのか、そして次に何を目指していくかを明確にできていない点。大手はスキルアップの道筋をきちんと策定できているケースもある一方で、中小規模ではなかなかこれに着手できないわけです。そこで、式場運営企業の人事担当者からのヒアリングも経ながら、5 段階の『プランナーの成長ステージ』を当社で策定しました。」
金井「入社したてのデビュー前、S 1 からスタートし、S 2 は決められた手順でプランニングできるようになること。S 3 はチーフプランナーのイメージで、新人教育などにも携わるようになるステージです。S 4 はチームのリーダー的存在として、企業に貢献をしていくポジション。支配人などのマネジメント職ではなく、現場でさらなる専門性を高めていくプロフェッショナル(P)は、例えば社内フリープランナー制度で活躍するといったイメージです。各社それぞれステップアップはあるかと思いますが、大枠はこの流れに当てはまるかと。あわせて各ステージの“解像度”も上げていて、例えばS 3 であれば、期待以上の結婚式をプロデュースできると同時に、新人育成など組織への貢献度を高めていくなど、会社からの『期待役割』を言語化しました。もっとも、S 3の中でも自身のスキルに磨きをかけていくというのは当然ですから、例えば役割の範囲を決めつけてしまうといった『抑える意識・行動』と、課題から目をそらさず解決法を考えるなど『伸ばす意識・行動』もそれぞれ明確にしました。各ステージにおける詳細は、人材課題などに対しサービスを展開するリクルートマネジメントソリューションズの力も借りながら、決定していきました。」
他社との交流にも繋げる
――カレッジの取り組みとして、今後はステージ別の研修プログラムも開催していくそうですね。内容の詳細は。
金井「トライアルはすでに実施しており好評だったことから、本格的に動いていきます。12月には『CHEER UP !研修』と題し、入社1 年未満のプランナーを対象に東京と大阪の2 ヵ所で開催。当日は参加者同士のペアインタビューで志望理由を振り返り、モチベーションの“源泉”を改めて言葉にするほか、今後取り組みたいアクションの決定などを組み込んでいく予定です。来年2 月のオンラインフォロー研修も含む2 日間のプログラムとなっており、人材課題に向けた業界支援の立ち位置なので、受講は全て無料です。」
金井「多忙な中仕事をしていると、ミスしてしまったことなどネガティブな方ばかり目を向けてしまうこともあるはず。一方で、できるようになったことなど“財産”も多くありますから、同じような悩みを抱える他社の人たちとの交流を通じ、成長意欲などを改めて感じてほしい。来年以降も各ステージに応じた研修プログラムを企画していきますので、より多くの人に受講してもらえたら嬉しいですね。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月21日号)