LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

〔夫婦の理念〕を作成【サムシングフォー 代表取締役 岸本裕子氏】
岡山県倉敷市で2会場を運営しているサムシングフォーの岸本裕子社長は9月27日、著書『夫婦の理念』を出版した。会社の経営理念のように、夫婦においても共通の幸せの価値観を言語化するもので、同社で結婚式を実施するすべての新郎新婦に作成しているほか、理念づくりのみの提案も進めている。この理念に基づいた宣言なども組み込む結婚式『理念式』も展開する同社。ここでは夫婦の理念に込めた想い、これまでの取組みを紹介していく。
書籍の出版
岸本「いつかは本を出したいと思っていました。もともと夫婦の理念に取り組み始めて、6年ぐらいになります。私自身の話として、母から事業継承して経営者になったタイミングは、会社自体も債務超過で厳しい状況でした。『何とかしなければならない』精神から式場を始めたわけですが、それだけで結婚式を作っていても社員はなかなかついてきませんし、結婚式自体も本質的にいいものを提供することは難しい。そこで会社の理念を作りつつ、結婚式の考え方として夫婦の理念を作っていった経緯があります。」
夫婦の理念
岸本「会社は、企業理念を作ることによって一つの指針となり、社員をまとめていきます。それは夫婦にも言えるのではないかと言う想いから、まずは私と関わりのある新郎新婦からスタートしていきました。夫婦として、お互いにどういうことが幸せなのか。幸せの定義は非常に曖昧で、そこを明確にしておかないと会社であれば倒産してしまいますし、夫婦は離婚となる。夫婦の理念を作ることによって、お互いに持っている幸せの定義を一つの言葉として明確にしていきます。それは結婚式を提供する役割として、本質は何なのかを考えていく上でも、私たちにとっては一つの答えになっています。」
岸本「新郎新婦に対しては、2 人の考え方はそれまで生きてきた歴史、価値観も違うのだからバラバラなのは当然。だけど結婚してこれから先、一つの指針があったほうがいいと説明しています。価値観をすり合わせてキーワードを作り、2 人にとっての幸せとはどんなものかを定義付けます。もちろん幸せいっぱいの2 人は、結婚式をしたいと思って式場にやってくるわけです。そこで幸せを作ろうと言われても、最初はピンとこないのも仕方ありませんでした。ただ最近では事例が数多く積み重なってきたことで、それを基に話が出来るようになったのも大きいですし、コロナによってそういった夫婦の価値観のすり合わせが大事だという想いは高まっています。」
夫婦の理念作りの導き
岸本「初回の打合せの時に、3 時間をかけて作っていきます。ヒアリングで導いていくわけですが、理念はプランナーと対話をしながら、2 人から出てきた言葉の中で決めていきます。10年後、20年後にその言葉を振り返った時に、キチンと原点に戻ることができるか。一つの言葉を、2 人が同じ共通の意識で認識できているのかが基本となります。つまり夫婦の理念とは、他の人には分からなくても、2 人だけでしっかりと分かっていればいいわけです。」
岸本「初めは私の関係する新郎新婦で対応していましたが、プランナーからは自分達も早く出来るようになりたい、ただ社長だから出来るのではという雰囲気もありました。当社では結婚式をした人たちに幸せで居続けて欲しい。そのために出来ることが自分たちの役割であると決めています。結婚式をキチンと作るのは当たり前のことで、それ以上に出来ることは何なのか。目指していくプランナー像を明確にしていることから、自然と夫婦の理念作りのスキルも高まっていきました。始めは必要なスキルのライティングを出来るようにするため、専門の講師を招き、また最初に理念作りの練習を行います。今はヒアリングのポイントをきっちりと押さえていれば、対応できるようになっています。教えられるスタッフも増えてきました。理念作りにおいて大切なのは新郎新婦の姿勢で、当人たちが後ろ向きであれば理念は作れません。その点、今は事例も溜まってきて、また知名度も広まったことで、自分達で事前に話し合ったとまとめて来る人も出ています。その点でも、やりやすい環境になっていますね。」
夫婦の理念式
岸本「夫婦の幸せはこういうものという理念は、ウェルカムボードのようにして、結婚式当日の入口に掲示しています。ゲストにまずは見てもらう。新郎新婦は式後にはそのボードを持ち帰って、自分の家に飾っているようです。挙式については夫婦の理念を基にした、理念式を展開しています。どういう夫婦、何を幸せとして生きていこうとしているのかを列席者に伝えるスタイル。人前式の場合は列席者に承認をもらうわけですが、理念式ではその場に居合わせてもらって、2 人を送り出すというイメージです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月1日号)

