LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

満足度を正確に把握【テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役社長 岩瀬賢治氏】

満足度を正確に把握【テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役社長 岩瀬賢治氏】

 結婚式の価値を高める取り組みを多くのブライダル企業が進めている。もっとも、価値を知るためには、顧客の本音を聞き出していかなくてはならない。テイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)は、カスタマーセンターを設立し、費用・時間をかけて顧客の声を集める仕組みを整えてきた。リアルな声を分析し、人事評価や商品開発にも生かしている。いわば同社のCSのベースにもなっているが、さらなる進化を含めて岩瀬賢治社長に今後の対応を聞いた。

受注はコロナ前の水準

――昨年11月に発表した上半期決算は、最終損益が黒字になりました。コロナ禍の最悪の底からは、大分回復してきているような印象を持ちました。

岩瀬「第1 クオーターは、営業利益段階でも黒字になりました。感染拡大・収束や、規制も時々で変化していた中で、その都度新郎新婦に向き合ってくれた現場スタッフには本当に感謝しています。会社としてカップルに寄り添うという方針を出しても、当然全てを叶えられるわけではなく苦しい想いもしたでしょうが、それでもよく支えてくれました。上期の業績は、そのおかげと言えます。とは言え、8 月20日以降、行動規制対象が地方に広がった影響が大きかったのも事実としてあります。9 月は300件、上期全体で500件が延期になりましたから。対象が都市部のみであれば上期を通じても黒字だったでしょうが、地方も含めて拡大した影響は大きかったですね。」

――動いた500組は、下期に蓄積されているのですか。

岩瀬「80%程度が下期で、20%は来期以降です。上期の新規来館に関しても、70%弱しか動かなかったのは厳しい面かと。商戦期が3 回あった中で、受注に影響があったことは否めません。しかも先の予約が多く、下期の積み上げは通常よりも少ない数になりました。ただ、緊急事態宣言が明けて以降、ウィークリーでは回復もしていて、9月末の70%から、11月末には90%程度までに増加(19年比)。契約率も3 ~ 4 ptアップしており、受注だけで見ると100に近いところまで上がってきています。その点、心配はこれまでの平均である67、8 名で結婚式をしてもらえるのかという部分で、その動向を注視しています。」

――人数減、単価減をカバーするための対策に関しては。

岩瀬「目先で言うと、組単価が落ちたとしても同じ利益を確保するために、内製化を進めているところです。花、ドレスなどの自社の占有率はもちろん、例えば引出物は複数社から仕入れていたのを1 社にすることでスケールメリットを出す。ただこれはあくまでも目先の対応であり、人が集まることの重要性が見直されていると言われることは、ブライダル業界で事業をしている以上、まだ影響は続くと予想せざるを得ません。」

――意識の変容への対応が必要ということですね。

岩瀬「極端に言えば、【結婚式はするの?しないの?】、【誰を呼ぶの?】ということから始まれば、当然厳しさは増していき大きなリスクになります。今までと同じ感覚で結婚式を大切に捉えてくれる人もいるでしょうが、250~300万円程度で【とりあえず】の結婚式をやっていた層が、さらに多様化していく可能性もあります。そうした層が、『しなくてもいい』、『もっとカジュアルでいい』に動くケースがあるわけですから。そこに大きなマーケットがあれば、当社としてもサービスをきちんと作っていく必要が出てきます。『T&Gではこう思っている!』だけでは、対応しきれないだろうと。今までは積極的ではなかったのですが、カジュアルであっても安かろう、悪かろうではない品質のサービスで、かつ利益率のいいモデルを作れるかどうか。仮にそうしたビジネスを受け入れるための式場を新たに作るとなれば投資が伴いますから、既存の店舗の中でトライアルしていくという発想で、準備をすでにスタートしています。この1 、2 年で作り上げていく方針です。」

 

商品クオリティの向上

――カジュアルであっても、通常の結婚式をベースに対応していくようなイメージですか。

岩瀬「そうです。ただその場合には、対面の打合せが何回必要なのかといった部分などを検証しなくてはなりません。オリジナルを希望する人があまりいないのであれば、打合せも効率化し、例えば100%オリジナルではなかったとしても選択肢を多くする、ビジュアル的にこだわるなど。そもそもディナースタイルであるべきなのかといったことも含めて、考えていく必要があるでしょう。その際には、今までのブランドも変えながら進めていく。一方で、業界が一丸となって、結婚式の価値・品質を高めるような取り組みも必要だと感じています。」

――価値の向上は業界全体で提唱すべきなのですが、そのベースになるべき商品クオリティを高めるという取り組みは未だ二の次になっているという印象もあります。商品力向上よりも、結局集客や契約が目的になってしまっているような。

岩瀬「当社としても、コンサルや運営受託といった形で色々な会場をサポートしてきましたが、やはり1 番多い希望が新規の契約数を伸ばしたいということ。商品力を高める、顧客満足度をアップさせる、社員教育を進めることに対して、時間やお金を使う企業はまだまだ少ないと思っています。例えば私たちのカスタマーセンターの仕組みを使いたい、当社のWEBの教育の仕組みを活かしたいという会社がもっとあってもいいはずです。現実には、新規契約数アップのコンサルフィーが100万円、いい結婚式を作るためのフィーが100万円、教育していくためのフィーが100万円だとしたら、絶対的に新規のところを選ぶ企業が多いわけですから。仮に企業単体で取り組むのが難しいのであれば、業界を挙げてやらなければいけないことでしょう。」

――結婚式の価値の部分についても、そもそも自社の結婚式に対する満足感でさえカスタマーセンターがなければ分からないわけですよね。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)