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キーマンに聞く

WEB招待状でプロセスを後ろ倒し【バリューマネジメント 代表取締役 他力野淳氏】
歴史的建造物や文化財を活用した結婚式場、ホテル運営などを手掛けるバリューマネジメント(大阪市北区)。コロナの影響で考え方が多様化した今、同社代表取締役・他力野淳氏は「訪れるための明確な理由を持つ場所が、今後は残っていく」とマーケットの変化を語る。ブランディングのためにあえてウエディングフォトを獲得しなかった理由、打合せ以外のオンライン対応など、昨年展開した施策や現状の動向を聞いた。
フォトには慎重な姿勢
――コロナ禍の対応として、各社が様々なスタイルやプランを打ち出しました。昨年はどのような取り組みを進めましたか。
他力野「ウエディングフォトなど昨今増えている写真を中心にした施策は、オファーがあれば対応はしてきましたが、自ら積極的には取りに行きませんでした。主な理由として3 つ。当社は衣裳を内製化していませんから、フォトの場合もパートナー企業にお願いすることになる。従来の挙式披露宴と比較して売上額が少ない中で、衣裳会社への支払いを考えると、利益がそこまで残らないわけです。大手企業の中には衣裳を内製化している会社も多く、利益構造がどうしても違うので、他社が展開するフォトの成功事例が、当社にも当てはまるとは限りませんから。2 つ目は、当社が飲食と宿泊にも注力していること。婚礼同様に柱となる事業ですし、それが当社の強みなので、であるのならば、そちらに注力すべきと考えました。最後に、ウエディングフォトを希望する顧客層が、どういったカップルなのかを考えたため。予算をしっかりかけて写真を撮りたいという人たちもいれば、コロナで式自体が挙げられないから写真に移行したカップル、リーズナブルに思い出を残したいというケースも想定できます。運営する会場の特徴として文化財が多いのですが、ボールルームのような宴会場はないので、もともとパーティー自体がそこまで大規模ではありませんでした。一方で、料理単価は1人あたり平均約2 万円と高水準で推移しています。もともと単価の高い顧客を獲得できていたこと、そうした人が集まってくれる場所という点を鑑みると、裾野を広げてこれまでとは異なる客層を本当に獲得していくべきなのかと。その後のブランディングやビジネスにも影響が出てくるでしょうから、冷静に考えて、あえて積極的に取りにいかないと決めました。」
――コロナ禍での披露パーティーは少人数化し、会食スタイルも増えました。
他力野「当社では40名以上をパーティー、それ以下を会食と位置付けていますが、コロナ禍で少人数が増加しました。一方、昨年の秋~この冬にかけての組単価を2 年前と比較した時に、差はわずか数万円程度。引き出物など人数に紐づいて売上が左右されやすいものもありますし、人数の減少数にもよりますが、もともと予算のあるカップルの場合、売上額にそこまで大きな変化はないと感じています。しっかりと価値あるものを提案できれば、当初の予算額で内容の濃い会食になるケースも見られています。」
――コロナの影響で、業界にもオンライン対応の流れが一気に広まりました。
他力野「打合せと共にオンライン化を進めたのが、招待状。コロナ禍で、結婚式を迷うタイミングは複数あると思っています。1 つ目が成約時。どこの会場にするか悩むというよりも、『本当にやっていいのだろうか』と式の開催自体について考える。次に迷うのが、招待状の発送のタイミングです。紙の場合は式の約3 ヵ月前に郵送しますが、WEB招待状であれば約1 ヵ月前。3 ヵ月先の感染状況を予測するのは難しいですが、1 ヵ月後であれば多少なりともイメージはしやすくなります。紙以外にWEB招待状の選択肢を用意することで、開催決定のプロセスを後ろ倒しにできます。結果として、顧客の不安要素を取り除けたと思っています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)

