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制度+モチベーションUPの環境【ドットアイ 代表取締役CEO 大崎恵理子氏】

制度+モチベーションUPの環境【ドットアイ 代表取締役CEO 大崎恵理子氏】

 人生のライフイベント、特に出産を機にキャリアを手放す女性もいる一方、採用コストも上がっているからこそ、企業にとっても定着率向上は重要だ。ドットアイ(東京都中央区)の代表取締役CEO・大崎恵理子氏は現在2児の母でもあり、婚礼業界で培ってきたこれまでのキャリアを活かし、女性の定着率向上といった支援を展開している。「この会社で働き続けたい」と思ってもらえるには企業は何が必要なのか。大崎氏に話を聞いた。

 

 

――大崎さんといえば、式場紹介サービス『Hanayume』を展開するエイチームブライズ(当時)の代表として、約8年のキャリアを有したことで知られています。現在の事業内容について教えて下さい。

 

大崎「女性の働く環境情報プラットフォームとして、クチコミサイト『SHEHUB(シーハブ)』を運営。そのほか、女性に特化した転職エージェントサービス、スタッフ育成支援といったコンサル事業も展開しています。こうしたサービスを立ち上げた背景として、Hanayumeでのキャリアは大きく影響しています。当時スタッフの大半は女性で、年齢層は20代後半から30代前半が中心でしたから、結婚・出産というライフイベントのタイミングと重なるわけです。特に出産においては時短勤務に変えるなど、女性側が何かしら選択を迫られることも多いと言えます。専業主婦になる、正社員雇用から外れるといった色々な選択肢を否定するわけではないものの、自身のキャリアをしっかり考え、そして大切な誰かを守れる経済力を女性も持ち続けることは重要と感じ、現在の事業展開に至っています。」

 

――婚礼事業者において、現場は女性の多い一方、ことマネジメント職を見てみると、男性比率が多く逆転しています。

 

大崎「一般的なデータとして、女性管理職の割合は10%前後しかないと言われています。給与のジェンダーギャップもありますし、そもそも管理職を目指す女性の割合はやはり少ない。その理由としては大きく3つで、1つ目は産休・育休の取得。キャリアがどうしても途切れてしまうことから、企業としても『男性を育てよう』という考えは少なからずあるわけです。2つ目は昇格のタイミング。データによると役職登用の平均は38.5歳とされていて、子育てのタイミングと重なりやすいため、そもそも女性は目指しにくいというのも事実です。3つ目には家庭との両立の不安が挙げられ、どれも女性ならではの理由と言えます。女性の最高年収は出産前までと言われることもあり、産前に成功体験を積める環境を、企業からきちんと用意できるかは重要です。20代のうちから様々なチャンスが回ってきて、失敗も含めた成功体験を積めるか次第で、『子育てをしながらでも、またあのポジションを目指したい』と思える機会に繋がるわけです。そのためには、ロールモデルの存在も欠かせません。『誰もいないからできない』というのではなく、スポーツの世界記録更新と一緒で、その姿に憧れることで、あとに続く人たちが出てくるイメージです。」

 

――企業に向けて、女性の定着率向上支援も行っています。

 

大崎「これは男女関係ない部分ですが、中長期的な雇用に繋げるためには、働く環境を整備することは言わずもがなです。一方で、環境を整えただけでは離職率は正直下がらないとも思っています。実際に約60社を対象に若手育成の文脈でヒアリングを行ったところ、給与水準の見直し、福利厚生を手厚くするといった対応により、離職率の改善、上を目指す若手の増加に繋がったかといえば、『そうではない』との回答でした。条件改善は必要不可欠ではある一方、結局は終わりのない“競争”。ブライダルと比較し平均給与の高い業界は多いですし、リモートワークの可能な職種も増えていて、隣の芝は常に青く見えてしまうものです。」

 

成長を実感できる環境

 

大崎「実際に、ある美容関連企業のスタッフと面談していた時に、口から出てきたのは給与や休日など、条件面の不満でした。一方、どういった時にモチベーションアップするかも聞いたところ、頑張りから成果に繋がって、周りから『ありがとう』と言ってもらえたことだったわけです。さらに深掘りしていくと、学んだことを施術に活かせない環境が、不満の根源でした。このモヤモヤから派生し、結果として条件面の悪い部分を“あら探し”して、不満になるという流れです。環境改善は企業努力として続けるべきですが、そもそもの本質は、仕事に面白さを感じ、会社の一員として成長できるという実感を持てているかどうか。夢や目標を見続けさせてあげる環境づくりは、会社にとっても一丁目一番地の施策です。」

 

――働き手側は、事前にライフプラン、キャリアプランをそれぞれ考えておくことも、重要かもしれません。

 

大崎「結婚や出産はご縁の部分もあるので、完璧なタイミング予測はどうしても難しい。とはいえ、特に出産は働ける時間・量に制限がかかる可能性もありますから、産休に入る前までに、どこまでのポジションになっておくべきか、どういったスキルが必要か、事前に逆算しておくことは重要でしょう。例えば、育休復帰直後に『支配人に挑戦したい』と言うのか、それとも出産前に支配人経験があって、『やっぱりGM業務を続けたい』となるのかでは、少なくとも違いはあるわけです。だとしたら、20代のうちに支配人に挑戦という目標を立てておくことはマストで、そうすると、この1年どう動くかも変わってくる。ブライダルは人の稼働によって数字の上がる業界ですから、企業側もメンバー一人ひとりの成長戦略を、もう少し丁寧に練ってあげることは欠かせないかと。制度はもちろん、接客業は人こそ“本丸”。個々のモチベーションアップに繋がる“面倒くさい”部分に、企業はもっと真剣に向き合わなければと思っています。」

 

――大崎さん自身、1社で働き続けることにメリットもあると感じているそうですね。

 

大崎「長く働き会社に貢献することは、言い換えれば“信用残高”の貯まっている状態。だからこそ発言権を持てたり、働き方の相談もしやすくなったりするわけです。『いい結婚式をプロデュースしたい』という想いや感情と、ビジネス部分がここまで結びつく業界はないでしょう。婚礼業界の皆さんにも、当社支援を通じて、人材に関するサポートができれば嬉しいですね。」

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月1日号)