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連載3《AIで進める構造改革》トッププランナーのやり方が共有されない理由【ニュー・バリュー・フロンティア 取締役 金増宏輝氏】
どの会場にも、“なぜか売れる人”がいて、多くの場合その人は会場の売上を支えています。ただ、これは同時にリスクでもあります。その人が異動する、退職してしまえば数字は大きく変わってしまう、売上が“個人”に依存している状態です。
こうした状況に対し、よくある対応が、「トッププランナーを増やそう」という発想。もちろんそれは大切ではあるものの、現実にはトッププランナーには“センス”があります。空気感を読む力、言葉の温度感、間の取り方など、経験だけでは説明しきれない要素があります。
だからこそ重要なのは、トッププランナーを大量に育てることではありません。ポイントは彼・彼女らの“判断”をどこまで仕組みに変えられるか。どこで共感を作っているのか、どのタイミングで提案しているのか、何を見て不安を察知しているのか。この点が整理されると、接客は“個人技”ではなくなります。
一方、多くの会場では接客が「経験者の感覚」で止まっています。そのため引き継げない、再現できず、結果として“あの人しか売れない”状態になります。問題は人ではなく、“再現できない構造”そのものです。
今後必要なのは、トッププランナーの感覚を“センス”で終わらせないこと。ロジックに変え、仕組みに変え、組織の資産として残していく。そして全員の接客力を一定水準まで引き上げること。それこそが、これからの戦いになっていきます。
AIはその変化を後押しします。以前は接客の振り返りも上司の感覚に頼っていましたが、今は会話内容を整理し、顧客の反応を分析し、判断の傾向まで見えるようになってきています。AIが変えるのは接客の自動化ではなく、“感覚だったものを、共有できる状態にすること”。あなたの会場は、“売れる人頼み”になっていないでしょうか。
■ 今日から使えるAI実務③接客を“感覚”から“共有資産”に変える
接客内容を音声録音し、議事録化する会場も増え始めています。重要なのは文字起こしすることではなく、その内容を“分析できる状態”にすること。文字起こしをした接客内容をChatGPTに貼り付け、以下のプロンプトを入力してみてください。
【依頼】:「以下の接客内容から、①どこで共感を作っているか、②どこで不安を解消しているか、③どこで意思決定が動いているかを整理してください」
“なんとなくすごい”で終わっていた接客が、共有できる状態に変わり始めます。AIは接客を代わりにするものではなく、“共有できなかった経験”を、組織に残せる状態に変え始めるツールとなります。
次回は「“良い会場”なのに、なぜ選ばれないのか」をテーマに、“伝え方”の構造に踏み込んでいきます。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月21日号)

