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業界の夜明けとなるプロジェクトを語る連載コラム シリーズ 動かす仕組み 第2回:アートフェスティバルを通じた挑戦【ワイケープロデュース 営業部部長 猪股  進氏】

業界の夜明けとなるプロジェクトを語る連載コラム シリーズ 動かす仕組み 第2回:アートフェスティバルを通じた挑戦【ワイケープロデュース 営業部部長 猪股 進氏】

婚礼写真は【記録】ではなく【記憶媒体】

婚礼の仕事に携わる者ならば、誰もが一度は「この結婚式は、本当に美しい」と感じた経験はあるはずです。そこには、人と人との繋がりや人生の尊さが、言葉を超えた形で感じるとれるからです。

その担い手として婚礼写真があります。長年、婚礼写真は「記録」として扱われてきました。その結果、どれほど技術が高くても様式が定型化し、「どれも同じに見える」という印象を持たれやすい状況が続いています。本来、婚礼写真はそうではないはずです。新郎新婦の表情、ゲストの涙や笑顔、その日だけの光の加減。そのすべてが唯一無二であり、一枚一枚に圧倒的な豊かさが宿っています。私たちはその価値を、もっと広く伝えていかなければならないと感じています。

婚礼写真は「記録」ではなく「記憶の媒体」です。漂っていた空気、あの時の感情、光の揺らぎ。写真はそれらを断片として留め続け、アルバムという形になることで手に取るたびにその記憶を呼び起こしてくれます。デジタルデータはいつか失われることがあっても、丁寧に製本された一冊は長く手元に残り、やがて家族の歴史の一部になっていきます。「大切な時間をカタチに残す文化、この文化を次の世代へつないでいくこと」、婚礼写真に携わる者の大切な使命だと考えています。

この思いを業界の外へ届けるために、私たちはアートフェスティバル「KG+」への出展を選びました。商業的な文脈を離れた場で婚礼の一瞬に触れてもらうことにより、婚礼写真が持つ本来の価値をより率直に伝えられると考えたからです。会場では多くの来場者から直接言葉をいただきました。「結婚式のイメージが変わった」、「こんな写真が残せるなら、式を挙げてみたい」。広告や営業とは無縁の場だからこそ生まれた、率直な反応でした。

昨今、様々な理由から挙式を選ばないカップルが増えています。その背景の一つとして、「結婚式がどのような体験なのか想像できない」という情報の空白もあると感じています。一枚の写真が、その空白を埋める入口になり得る。来場者の反応は、そんな可能性を改めて実感させてくれるものでした。結婚式には、言葉や数字では測れない体験の豊かさがあります。この豊かさを社会へ広めていくことが、業界全体の価値向上にもつながる、その担い手が婚礼写真です。

婚礼写真には、言葉では伝えきれない豊かな表現力があります。私たちはこれからも、一枚の写真を通じて結婚式の価値を伝え、カタチに残す意味を広めていきたいと考えています。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月21日号)