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連載20《当日施行力を向上させる》「時間通りに終われば良い」の意識ばかり強く【at-heart 代表取締役 稲岡利彦氏】

連載20《当日施行力を向上させる》「時間通りに終われば良い」の意識ばかり強く【at-heart 代表取締役 稲岡利彦氏】

現場サービスにおいて、特にドリンク、パンの提供に関する不満は頻発しています。その要因として、「時間通りに終われば良い」という意識ばかり強くなっているため、スタッフに対しても素早い料理の提供、皿の回収だけを求めるからです。そのため、グラスが空になっているゲストへの配慮は不要と考えるようになってしまう。ゲストとしてもその場で不満を口にすることは少なく、いわゆる「サイレントクレーマー」がどんどん増えていきます。これを放置すれば、今後の集客やクチコミに大きく影響します。
そもそも、15%程度のサービス料を設定している会場も珍しくはありません。15%という比率は一流レストラン、ラグジュアリーホテルに匹敵し、それだけのサービスを提供する上での対価です。果たして、それに見合うだけのサービスレベルであるかどうか。その観点からみても、「時間通りに終われば良い」という意識だけでは、不満を抱かれるのも当然と言えます。
私は3 年間リッツ大阪で料飲のアシスタントマネージャーを務めていましたが、当時の経験は貴重なものでした。ホテルの場合、結婚式顧客はリピーターにならないという意識から、軽々しく扱うことも見られます。サービス現場でもこうした意識を持つ人が少なくない中で、リッツではキャプテンが新規内覧の案内を担当するほか、当日は全て自分たちに任せろと、レストラン、宴会と同様に高いプライドを持って対応していました。披露宴の始まる前にテーブルに当たる照明が真ん中からわずかにずれていれば、開宴時間を遅らせてもすぐに担当スタッフを呼んで調整を指示するなど、とにかくおもてなしを徹底していました。
リッツでは「ラインナップ」と呼ばれるミーティングを毎日15分実施していて、全世界から集まる顧客の声のうち、素晴らしい接客事例を部署ごとに紹介し共有。その事例を参考に、自らがその日に担当する予定の顧客に対し、どのようなサービスを提供するのかを、指名された一人が発表します。指名された時に答えられるよう、全員が考える大切な時間でもありました。
また、スタッフには一定の自由裁量も与えられています。例えばアニバーサリーで宿泊している顧客に対し、サプライズでルーム内をキャンドルで飾り付けるなど、上長に相談なしでスタッフがこうした対応を決められます。ゲストの要望に対し、現場の判断で迅速かつ柔軟に応えるための仕組みで、高額な料金を支払ってもらっている以上、それを顧客にも還元するという考えです。スタッフ一人ひとりが「自分たちのお客様」として向き合い、そのクオリティを支えるマネジメント体制は際立っていました。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月1日号)